- タイトル:女川で釣ろうぜ!BIG ONE
- 制作団体:大賞釣~れONAGAWA(女川町役場秘書広報係)
- コンセプト:憧れの50cm超特大カレイが釣れる女川の海を、元釣り新聞記者の町広報担当がPR
- 使用音楽:スペシャルゲスト登場・入場(フリーBGM)
- 撮影機材:CANON EOS70D・EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM・EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM、OLYMPUS STYLUS TG-850 Tough
- 使用タックル:竿…ダイワ 極覇光カセ135(1.35m)、リール…ダイワ バイキング極 50 パワーバージョン、ライフジャケット…マルキユー プライムエリア ラフトジャケット自動膨張式
- 仕掛け:道糸フロロカーボン3号、片テンビン、オモリ2号、ハリス1.5号、あわせカレイLの1本針仕掛け、エサは青イソメ
きっかけ
女川自慢の海には多種多様な魚が棲み、釣り人を楽しませてくれます。
釣りの対象魚は、冬から春にかけてカレイやアイナメ、夏にはイナダ、ワラサ、サバといった青物、ほかにヒラメ、クロソイ、メバル、ドンコなどの根魚やアナゴなどが、堤防からや船釣りで狙うことができます。
女川の特徴としてどの魚もサイズがよく、カレイ、アイナメはともに50cm超(ゴーマルと呼ばれる)の超大型がまれに釣り上げられるほか、40cm級はコンスタントに、アナゴは1mを超えるものも上がることで知られ、他地方から訪れる方はその大きさに驚くばかり。
釣り人の間では大物のことをBIG ONE(ビッグワン)と呼びますが、そんなBIG ONEの眠る女川の海をPRしようと、役場の釣り好き職員が結集し、CMを制作することになりました。
大賞釣~れONAGAWA
~CM制作チーム「大賞トーレおながわ」の釣り精鋭部隊「大賞釣~れONAGAWA」~
KHB東日本放送には、制作団体として上記の説明を添えて提出しました。
この「大賞トーレおながわ」とは役場総務課秘書広報係を中心としたCM制作チームのことで、2015年度から4年連続で同コンテストに出品。もちろん、町のサッカーチーム「コバルトーレ女川」にちなんだネーミングです。
同係は広報業務としてイベント等の写真撮影を担当しますが、動画撮影&編集は2015年度が初めて。手探りの中、現場で知り合うテレビ局カメラマンの撮り方を見ながら研究し、カット割りなどを工夫して、2015年度は映像賞、2016年度は銅賞、2017年度は金賞を受賞しました。
前回は、山登りがテーマということで「てっぺんトーレ女川」に、今回は釣りがテーマのため「大賞釣~れONAGAWA」と名前を改め、BIG ONEである「KHB大賞」を狙いました。
コンセプト、配役、絵コンテ
町では8月末に一般の方(町民に限らず)からの応募を締め切りましたが、今年はあいにく応募がなく、9月に入ってから広報係を中心に取り組むこととなりました。そこで、まずはCMのコンセプトを検討。
町の広報担当は復興支援の応援職員で、女川に来てすでに6年度目を迎えますが、実は以前、某釣り新聞の編集記者をしていたことがありました。関西、関東で数々の取材に訪れたものの、女川ほど大物がコンスタントに釣れるところは少ないことから、元釣り新聞記者の広報担当がコメントすることで説得力を持たせ、実際にBIG ONEを釣り上げて、その迫力の攻防を描くことにし、対象魚は釣りをしない方にもなじみのあるカレイとしました。
配役は、オシャレな女川駅前レンガみちのイメージからこれまでふるさとCMにも若い女性を起用することが多かったものの、今回は実際に毎週釣りに通う30代男性の役場職員トリオとし、吉と出るか凶と出るか、中年(!?)男の渋みで勝負することに。
撮影裏話
撮影日は2018年9月8日、町内の某漁港。
実はカレイのシーズンは冬から春にかけてのため、水温の高い夏の海はエサ取りと呼ばれる小魚の活性が高く、大型カレイを釣るには最悪の条件なんです。10月末の応募締切に間に合わせるため、毎週末4、5回通ってなんとか1尾を、それでも釣れなければ今年は辞退もありうる…、そんな空気も漂っていました。
しかし当日、そんな暗雲を払うように私たちを待っていたのが、CM冒頭の朝焼け。
これを使わない手はないと、30秒のうち4秒を釣り人や漁師の特権であるこの美しい景色としました。
海の状態はというと、案の定、ハナダイやフグなど小魚のオンパレード。とにかく素材をと、まずは釣り風景などのカットを撮影。CM制作4回目ともなると、寄り、引き、捨てカットなど、実際につないだ画を想像しながら次の画を求めていくようになり、技術の向上を肌で感じます。
そうこうしているうちに「きたよ!」との声。小気味よい引きで待望のカレイが上がってきましたが、これは27、28cmほど。それでも、本命の登場に時間をかけてカメラを回します。
すると、「あっちもきてるんじゃない?」と置き竿にアタリが。「いや、たぶん小魚でしょ。こっちの方が大事やから」と返すも、なんだか気になるので渾身の大アワセ。
キュンッと糸が鳴り、グワンと満月にしなる竿!これはデカいと直感!グイグイと、平たい魚独特の重量感のある引きで上がってきたのは47、48cmはあろうかという特大マコガレイ。「やった~!これでCMできる!」と、トリオ+船頭を務めた職員のお兄さんで歓声を上げました。
ちなみに、カレイは竿に重みを感じるゆったりとした独特のアタリなので、一般の方に分かりやすいようCMではゴンゴンという別の魚のアタリを使用。水中シーンは防水カメラを三脚で伸ばし、構図と露出を決めた後、船頭にお願いし、持っていただきました。なお、撮影を担う広報担当が釣ってしまったため、渾身のアワセシーンは後日、町内の草むらで一人自撮り。take20でようやくセルフOKを出したのは、ここだけの話です。
編集
編集には、DaVinci Resolve(ダビンチリゾルブ:Blackmagic Design)という無料のソフトをインストール(無料では機能が限られます)。
コメントシーンは画面の上下を切る、アワセシーンは画面を傾ける、再生速度を変えるなど単調にならないよう変化をつけながら、音楽と画面の切り替え・つなぎに注意して、それぞれのシーンが違和感なくつながるようにしました。また、釣りをしない方にも飽きずに見てもらえるよう、映画のように少し色味を抑えたり、フォントを工夫してオシャレな雰囲気を残し、TVでCMが流れた際、すぐに女川のCMだと気付くよう、冒頭のSTART ONAGAWAロゴにアフレコしました。
さらに、釣り好きの方に向けて、関西の筏クロダイ釣りで使われるタックルをあえて使用し、見せることでマニア心をくすぐり、東北のカレイ釣りに新しい風を吹かせたいとの想いも込めました。
金賞を受賞して…
釣りという、少しマニアックな内容をどう評価されるかが心配でしたが、審査員のみなさんや司会の渡辺徹さんにも映像の組み立てや美しさが好評でした。「本当に釣ったんですか?」と審査員に2度、アナウンサーにも再度質問されましたが、胸を張って「そうですよ!」と答えました。これまでも40cm級カレイが2ケタ釣れた日もあるなど、女川は本当によい釣り場ですので、みなさんにもぜひBIG ONEを釣ってもらえれば幸いです。
震災からの復興が進む女川では、女川駅前を中心に観光客でにぎわっていますが、ここにはまだまだ多くの魅力が眠っています。
黒森山からの絶景、海が舞台の大物釣り、レンガみちの先に昇る初日の出、満天の星・天の川。
女川のもつ大自然の素晴らしさを、みなさんも肌で感じてください!
マナーを守って楽しい釣りを、美しい海をいつまでも。
【大賞釣~れONAGAWA(役場総務課秘書広報係)】