幼児期からの運動習慣形成プロジェクト
幼児期からの運動習慣形成プロジェクトとは、「3才からの運動習慣づくりで子どもの体力と自己肯定感を高める!」をテーマにし、子どもたちの運動習慣づくりを目的に行っている活動です。
女川町総合キッズスポーツ
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近年、子どもたちの体力低下は全国的な課題になっています。女川町では、子どもたちの運動習慣の形成と自己肯定感の向上を目指して、保育所では午前中の遊びの時間に、小学校では放課後の時間に運動プログラムを提供します。結果だけでなく努力のプロセスをほめる承認の声がけを行うことで、運動習慣の形成だけでなく、自己肯定感や協調性の向上にもつなげていきたいと考えています。
指導者 原田さん
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私たちは、子ども達の基礎体力・自己肯定感の向上のため、保育所と小学校で運動プログラムを提供しています。子ども達が運動習慣を付け、生きる力を養うことを願って事業に取り組んでいます! |
はじめに
皆さんは子どもの頃、学校が終わると何をして遊びましたか?
年齢によって回答が変わりそうではありますが、今成人している大人の多くは、少なからず公園等で友達と運動して遊んだ記憶があると思います。
しかし、子どもたちを指導する中で、外での遊び方が分からなくなっている子が非常に多いと感じています。ゲームやインターネットが普及して便利な時代になった一方、遊び場の減少も相まって、子ども達が外で遊ぶ時間は非常に短くなり、体力の低下が全国的な課題になっています。
画像引用元:文部科学省『令和4年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果(概要)について』
「保育の中の遊びの時間や小学校の体育の授業で、運動はしているんじゃない?」という声もあるかもしれません。しかし、遊びの時間や体育の授業だけでは身体を動かすことが大好きな子どもたちにとっては物足りないと感じてしまう子が非常に多いです。また、成功体験も得づらいため、「楽しい!」と感じられる子どもばかりではありません。幼少期のうちに、放課後や休日等に楽しみながら身体を動かす経験が、運動習慣をつけていくためには必要なのです。
運動習慣の有無は、大人になってからの生活にも影響を与えます。
運動は、生活習慣病をはじめとする病気の予防にはもちろんのこと、メンタルヘルスや睡眠の質向上にも効果的です。近年罹患者が増加しているうつ病でも、運動療法が用いられることがあります。
女川町の子どもたち |
子どもの頃全く運動習慣のなかった人が、大人になってから習慣づけるのは簡単なことではありません。子どもたちが、心身ともに健康に生きていくためにも、幼少期のうちに運動習慣をつける必要があるのではないかと考えています。
実現したい未来
運動習慣の形成に大きな影響を与えるのは、7歳ごろまでの環境です。この期間は、運動習慣だけでなく、自己肯定感にも影響を与えることが分かりました。
そこで女川町では、保育所と連携し、幼少期の運動機会を増やすことで、双方を高めるための活動にチャレンジしてきました。
運動プログラムに取り組む年少の子どもたち |
子どもの得意・不得意で偏りがでないように、毎月異なるスポーツに取り組みます。スタッフが、他の子どもと比べるのではなく、前の自分と比べてどれだけできるようになったのかをほめる承認の声がけを徹底することで、運動を好きになってもらいながら、自己肯定感を高めていきます。この声かけの有無が非常に大切で、子どもたちへの影響が大きく異なります。
「跳び箱が●段飛べるようになった」「ボールが遠くまで投げられるようになった」等、運動では自分自身の成長実感を得られやすいという点があります。定期的に運動プログラムを提供し活動を継続していくことで、運動習慣を身に着けていくことを期待しています。
スタッフも子どもたちと一緒に楽しむことを意識しています |
実際、保育所でプログラムに参加した子どもの親御さんに行ったアンケートでは、「プログラムを通じて運動習慣がついた」との回答が78%得られました。子ども達への好影響も感じられたことから、私たちは、この取り組みを小学校の低学年にまで広げ、放課後にさまざまなスポーツに取り組むことができる運動プログラムを開発しようと考えています!保育所と小学校の双方で、続けて運動機会を提供する取り組みは全国でも他にはないと思います。
社会的背景として、共働き世帯や一人親家庭が増加したこともあり、習い事という形では資金的に難しかったり、送迎等のサポートが困難だったりと、子どものスポーツを断念している家庭もあると思います。このプログラムは、「保育所の園庭」、「学校の体育館・校庭」で、「参加費無料」で行うことから、家庭環境や経済状況に関わらず、全ての子ども達に参加の権利があります。
保育所での運動プログラムの様子
このご時世、子どもだけで外で遊ばせるのは心配...と考える親御さんもいますから、きちんと大人がそばにいる環境で運動できるこのプログラムは、時代にとてもフィットしていると思っています。保育所で行っているプログラムの活動の様子は、親御さん向けに配信も行っているので、子どもたちの成長を見守っていただくことができます。会話のきっかけにもなり、家庭内のコミュニケーションが増加したとのご意見もあります。
小学校のプログラムでは、放課後に学校の体育館や校庭を使って活動することで子どもたちの放課後の居場所づくりにもつながると考えています。経済状況や家庭環境に関わらずスポーツ・運動を楽しめる環境をつくっていきたいです。
資金の使い道
集まった資金は、プログラムの運営費として活用いたします。
私たちは、この取り組みを女川町を皮切りに、全国に展開していきたいと考えています。子ども達への影響も、現在データで調査している段階です。プログラムの内容をブラッシュアップし、より効果的なものにしていく予定です!
現在、子どもたちをしっかり見守り、徹底した前向きな声かけを行うため、子ども30人に対して3名のスタッフがつく体制をとっています。現在、正直なところ参加を希望する子どもの数に対し、スタッフの確保が追いつかないような状況です。
集まった資金を活用し、より多くの子ども達に参加してもらえる体制を整えていきます。
4さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、そもそも外で遊ぶ機会も少なかったのが今の子ども達です。全ての子どもたちに運動機会を提供することは、放課後の居場所づくりや、地域での子育てにも繋がっていくのではないかと考えています。また、女川町がそのモデルとなり、全国で拡大されることが、子どもの生きる力の向上、そして体力低下の課題解決に繋がると考えております。
プログラムに参加した子どもたちは、ゆくゆくはクラスメイトや、近所の友達等にも影響を与えていくと思います。全ての子どもたちが、明るく心身ともに健康に成長していくことを願っています。皆さまの応援よろしくお願いいたします。
保育所の子どもたち |