評価に当たっては、トラブルを評価尺度の3つの基準(所外への影響、所内への影響、深層防護の劣化)でそれぞれ評価し、そのうち最高のものを当該のトラブルの評価結果としています。
日本の商業用原子力発電所では、レベル0(安全上重要ではない事象)の評価を、よりきめ細かく、
- 0+(安全に影響を与え得る事象)
- 0-安全に影響を与えない事象) の2つに分類して運用しています。
事故
基準1:所外への影響 | 放射性物質の重大な外部放出 数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出 |
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基準2:所内への影響 | |
基準3:深層防護の劣化 | |
参考事例 | チェルノブイリ原子力発電所4号炉(1986年) 東京電力福島第一原子力発電所事故(2011年) |
基準1:所外への影響 | 放射性物質のかなりの外部放出 数千から数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出 |
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基準2:所内への影響 | |
基準3:深層防護の劣化 | |
参考事例 |
基準1:所外への影響 | 放射性物質の限られた外部放出 数百から数千テラベクレル相当の放射性物質の外部放出 |
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基準2:所内への影響 | 原子炉の炉心の重大な損傷 |
基準3:深層防護の劣化 | |
参考事例 | スリーマイルアイランド原子力発電所2号炉(1979年) |
基準1:所外への影響 | 放射性物質の少量の外部放出 公衆の個人の数ミリシーベルト程度の被ばく |
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基準2:所内への影響 | 原子炉の炉心のかなりの損傷 ・従業員の致死量被ばく |
基準3:深層防護の劣化 | |
参考事例 | サンローラン発電所(1980年) JCO臨界事故(1999年) |
異常な事象
基準1:所外への影響 | 放射性物質のきわめて少量の外部放出 公衆の個人の十分の数ミリシーベルト程度の被ばく |
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基準2:所内への影響 | 所内の重大な放射性物質による汚染 急性の放射線障害を生じる従業員の被ばく |
基準3:深層防護の劣化 | 深層防護の喪失 |
参考事例 | バンデロス発電所(1989年) サイクル機構アスファルト固化処理施設火災爆発(1997年) |
基準1:所外への影響 | 安全上重要ではない事象 |
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基準2:所内への影響 | 所内のかなりの放射性物質による汚染 法定の年間線量当量限度を超える従業員の被ばく |
基準3:深層防護の劣化 | 深層防護のかなりの劣化 |
参考事例 | レニングラード3号機(1992年) 関西電力美浜発電所2号機電熱管損傷(1991年) 2号機1回 |
基準1:所外への影響 | |
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基準2:所内への影響 | |
基準3:深層防護の劣化 | 運転制限範囲からの逸脱 |
参考事例 | 1号機3回 2号機1回 |
尺度以下
基準1:所外への影響 基準2:所内への影響 |
安全上重要ではない事象 |
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基準3:深層防護の劣化 | 0+ 安全に影響を与え得る事象 |
0- 安全に影響を与えない事象 | |
参考事例(0+) | 1号機2回 |
参考事例(0-) | 1号機7回 2号機6回 3号機2回 |
基準1 | 施設外への影響の基準 |
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公衆の被ばくを伴うような放射性物質の 施設外放出の度合いによって分類 | |
基準2 | 施設内への影響の基準 |
従業員の被ばくを伴うような 放射性物質の施設内放出の度合いによって分類 | |
基準3 | 深層防護の劣化の基準 |
安全上重要な設備の損傷の度合いによって分類 |
シーベルトは、放射線が人体に与える影響を表す単位。(Sv)
ベクレルは、放射性物質の量を表す単位。(Bq) テラは 1兆
3つの基準について評価し、一番高いレベルとなったものをもって当該事業の評価結果としています。