女川町誌 続編
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実験 費用 十万円 担当 東北大学理学部 教 授 加藤愛雄 助教授 鈴木次郎 同 中村公平 実験の必要理由 現在の防波堤を嵩上げし水深二十五米まで延長し、更にその対岸に同様の水深二十五米線まで新たに防波堤を築造する場合、簡略な計算によれば津波波高は従来に比較して五割減が期待され、一応津波対策として考えられる。但しその効果については模型実験によって確かめることが必要である。 実験結果報告書(抄録) A 津波波高を減殺する効果 ・チリ地震津波の場合で一・〇㍍のピーク・カットが行われる。 B 共振に対する検討 ・チリ地震津波では明白な共振現象が認められるが、防波堤 設置により著しい減殺が期待される。 ・大きな共振の認められなかった三陸津波でも、その傾向はいっそう弱まると類推できる。 C 防波堤外に対する影響 ・チリ地震津波に対しては波高は減少の傾向を示す。 ・震源の近い地震による津波には波高が増大する傾向がある。 D 平常時の潮流に対する影響 ・湾口の最大流速は毎秒一〇センチ メートル以下で船舶航行上の障害はほとんどないと考える。 E 津波の流勢を減殺する効果 ・防波堤を設けた場合は湾口付近を除けば、津波時における堤内水域の流勢は減少する。したがって、家屋の倒壊・流失などの被害は相当減少するものと推定される。 F 津波到達時間の遅れがもたらす効果 ・津波が湾口を通過後市街地に到達するまで、防波堤設置により数分の遅延が見込まれ、また第一波の波高は著しく小さくなると思われるので、被害軽減のための作業にそれだけ時間的余裕が生じる。 43
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