女川町誌 続編
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いての理解を深めようと真剣であった。それだけに、現在の文化活動と比べて、質は遥かに高かった。 本町でも「女川文化協会」が結成され、図書館の設置と運営、レコード鑑賞会、討論会といった、今ならば「硬すぎる」として敬遠される活動に取り組んでいた。一部の限られた人々の間のことではあるが、森大作氏を中心に、原書をテキストに、アメリカ合衆国史の輪読を通して民主主義を論じ合うといった集まりさえあったほどである。 こうした世相を背景に、個人の努力で誕生し、足掛け六年の間発行され続けた小新聞が本町にあった。町役場を退職後、木村敬止氏が余生を賭けた「女川タイムス」がそれである。週刊タブロイド判一枚というささやかなものであるが、同氏の愛娘、三浦登美子さんがその第三一号から第二〇〇号までを大切に保管されている。本町にとっては古文書に劣らない貴重な記録である。『女川町誌』に記載されていない事で、大方の興味を引きそうな事項を拾い、「見出し」だけを列挙しておく(読者の便を考え、一部補筆した)。 549

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