女川町誌 続編
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谷川の流れのほとりで今咲き誇っているのはホウセンカ科のツリフネソウとキツリフネである。ツリフネソウは紫色であり、キツリフネは黄色であるが、これが入り乱れて咲いている光景は実に見事である。道端に見られるやや大形の野草でふきに似ているが、ほぼ三角形で高い丈夫な茎に互生しているミミコウモリ(菊科)という植物があるようであるが、この辺に生えているものはこれにごく近い種類で、葉と茎の間に円い芽(珠芽)のあるコモチミミコウモリというものである。これが今白い小さい花を穂状に沢山つけており、道端での一きわ目立つ存在である。今年の春のことにさかのぼるが、私の家の庭に、マメ科に属するものであることは一見して判るが、一体何という野草なのか正体不明のものが数本生えた。この夏まで楽しみにして待っていたら、とうとう夏になって、白い蛾が形の花が付き、中心部に赤紫色の斑紋はんもんがあって中々可愛らしいものである。早速調べたところ、メドハギ(マメ科)というものであることがすぐ判ったが、私は今まで見たことも聞いたこともなかったものである。私の庭にひとりで生えたものなので、きっとこの辺の山にあるものに相違ないと思って、その後山道を歩くたびに注意していたところ、本日御殿道路の第四砂防ダムの近くで発見した。 踏みにじられてあわれな姿をしていたが、紛れもなくメドハギで、白い蛾形の花もついていた。うれしかったことはいうまでもないが、小形のものであるし、それにあまり多いものでもないようで、私は今日初めて山野で見つけたのである。 〇九月十九日(土曜日) 初めのころの予報から判断すると、台風一三号は牡鹿半島を横断しそうに思われたが、その後大きくそれて遥か沖の方を東進したので大儲もうけをしたような感じである。それでも朝方細雨があったのみで曇天の一日となった。今日は 411
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