女川町誌 続編
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るということが書いてあった。次に草藪や小灌木等を白いかたまりに見せているまん草(つるくさ)に視線を向けたが、これはまた見事の一語に尽きる。このまん草には二種類あるが、両方とも白い十字形にひらいた蕚片が花を引き立てており、それこそ無数といいたいほど花がついているので、その辺一帯が真っ白くなるのである。一種はセンニンソウ、一種はボタンヅルといい、両方ともウマノアシガタ科に属する。よく注意して見ないと分からないが、一方は葉が卵形で縁には鋸のこぎり歯のないものであるし、一方は深い切れ込みで葉が三つの部分に分かれているものである。卵形葉を持っているものはセンニンソウで、他はボタンヅルである。 〇八月二十日(木曜日)~ツキミソウについて 夕方から黄色の綺麗な花を咲かせ、翌朝しおれてしまう植物を月見草と俗に呼んでいるが、実はこれは間違いであって、本当の月見草というのは白い花を咲かせる種類である。植物の分類からいえば、俗に月見草と言われているものも本当の月見草も同じアカバナ科に属し、近縁のもののようである。白花種はメキシコ原産の栽培品であって野生は見られない。黄色の花をつけるオオマツヨイグサの類は、江戸時代の末期から明治の初期にかけてアメリカ大陸から帰化したものといわれている。平凡社発行の『日本の野生植物』という本によれば、マツヨイグサの類で日本に帰化しているのは一四種で、その中で比較的目に付くのはオオマツヨイグサ・アレチマツヨイグサ(メマツヨイグサ)・マツヨイグサ・コマツヨイグサの四種類であると説明されている。しかし、コマツヨイグサは関東以北には来ていないということなので、われわれに関係のあるのは残りの三種ということになる。三種の区別点を挙げると、マツヨイグサは多年草で一度生えると地上部が冬に枯れても、翌年また地下の根から新芽が出て絶えることがない。オオマツヨイグサとアレチマツヨイグサは越年草であるので、種子から芽生えた年には花を付けないで翌年開花する。花の大 409
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