女川町誌 続編
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〇八月十七日(月曜日) 朝から曇天で気温も二〇度を超しているので、山歩きには不適当であるが、歩くのが今の小生にとって保健上絶対に必要であると医師から注意されているので(軽度の糖尿病のため)、今日も御殿峠の登り口に在る雨降り神社の少し上まで散歩をした。山道を歩き出すと、いつもの習慣でつい道端の野草に目が行ってしまう。老人性の白内障なので人様の顔もよく識別できないのに、ある程度野草が判るのは長い間の観察の結果のせいであろうか。 長い紐ひものような形の花穂を沢山つけている比較的大きい葉で、丈が一㍍前後の野草が目につくが、よく注意して見ると、この中に三種類のものがあることに気が付く。一つは毛が多くてザラザラした感じのもので、他の二つはそれほど触感が荒くなく、茎が赤い色をしている。葉の形も後の二つは先の方がひどく切れ込んでいるが、前者は葉の縁に切れ込み(鋸きょ歯し状)があるだけである。花穂の色は前者は緑白色であるし、後者は淡い紅緑色である。これら三種はイラクサ科に属するもので、ザラザラした方はヤグマオといい、後者はアカソとコアカソである。アカソとコアカソとの区別は名前の示すとおりよく似ているものの、コアカソの方は葉も茎も一見小形であるし、葉の先端部分の切れ込みもコアカソの方は少々軽度である。草本ではなく木本ではあるが、今山道を歩いていて必ず目に付くのはクサギ(クマツヅラ科)である。高さ三㍍くらいになるが、木の側に寄ると独特の臭いがする。枝一面についている花は白色に淡い紅彩をおびているし、蕚がくが紅紫色なので一きわ目立つ存在である。 第三砂防ダムの所にミズヒキとキンミズヒキが並んで咲いていた。キンミズヒキは黄金色の花が穂状に咲いておりこれはバラ科に属するのに対し、ミズヒキの方は赤い小さい花がまばらに穂状に咲くもので、これはタデ科に属する。ミズヒキは子供のころからよく目にし親しみを持っていたが、最近ある図鑑に東洋趣味の花として高く評価されてい 408
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