女川町誌 続編
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たものであるが、現在ではハイドクソウ科なる科がつくられ、ここに所属させられているようである。さらに目立たない野草ではイヌコウジュ(シソ科)やヤブジラミ(シソ科)等も相当見られた。もっともヤブジラミは花の時は目立たないが、秋になって実ができると人の衣類や犬の毛等にいっぱいつくので、名前は別としても厄介者として知られているかもしれない。数はそれほど多くもないし、これまでこの辺にはないといわれていたフシグロセンノウ(ナデシコ科)も咲き出しているが、これは花も比較的大きいし(花の直径三 センチメートルくらい)、黄赤色の色が中々目立つので野の花としては好ましいものの一つである。夕刻大粒の雨が落ちてきたが、その前に帰宅できたのは幸運であった。 〇八月七日(金曜日) 八月五日(水)には天気が気になって急いで山道を歩いたので、見落とした野草が相当数あるはずと思い、今日は予報も良いし充分時間をかけて探すことにした。早速目に入ったのが、シデシャジン(キキョウ科)である。五〇 センチメートルくらいの高さの弱々しい姿をした野草であるが、紫色の細い五つの花弁をもった花が一つの茎に穂のようについた上品なものである。やはりこれと同じように穂状に花が集まっているものにキンミズヒキ(イバラ科)が咲いていた。これは黄色い花でどちらかというと藪を明るくしている方である。ゲンノショウコ(フウロソウ科)は腹薬としてよく知られているが、図鑑では関西は淡紅色、関東以北は白色とあるが、今日目にしたのは淡紅色だけで、なんとなくからかわれているような気がした。オミナエシ(オミナエシ科)はわれわれの子供時代にはよく見られた身近な野草であったが、最近は滅多に見られないので四、五年前に猪落で種子を見つけ現在拙宅の庭で育てているが、このオミナエシに極近縁のオトコエシ(オミナエシ科)は案外多く、この辺の山道を歩くと至る所で発見する。今日もオトコエシの白い花序(花の集まりを指す言葉)がそこここで目に付いた。 406
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