女川町誌 続編
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(葉緑にギザギザの切り込みがない)で光沢を有し、果実は秋になると熱して紫黒色になる。その自生北限は宮城県北部海岸といわれ、塚浜のタブノキは北限に近いものとしては極めて大きいという点で貴重なものである。 当地方ではタブノキ、モチノキを区別しないでモッツ、またはモッツノキと呼んでいるが、タブノキはソヨゴ科に属するモチノキとは別種であることに注意しなければならない(上野勇規著『宮城県江島諸島植物誌』参照)。 ⑵ 塚浜のヒサカキ ツバキ科のヒサカキは女川だけでなく、かなり広くヒサカキと誤称されている。これは神事に用いられるサカキ(ツバキ科)の自生域が関東以西であるため、東北地方ではサカキに代えてヒサカキが用いられたことによるものと思われる。ヒサカキのヒはヒメ(姫)の詰まったものとする説もある一方で、非サカキのヒだ とする説も行われている。 両者の第一の相違点はサカキの葉は全辺であるのに、ヒサカキの葉緑にはギザギザの切り込みがあることである。ヒサカキは亜喬木ないし灌かん木ぼくで、雌花、雄花、両性花がそれぞれ異株に生じる。塚浜のヒサカキは、昭和四十九年九月五日、前項のタブノキを視察のた 391
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