女川町誌 続編
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ⓑ 球部全体が細粒斑れい岩からなる。鉱物は無秩序配列。 ⓒ 球部全体が中粒斑れい岩からなる。鉱物は無秩序配列。 ⓓ 細粒斑れい岩からなる暗色で明瞭な薄い殻と、放射状配列を有する中粒斑れい岩からなる。 これらの頻度は、ⓐが最も多く見られ、ⓑ、ⓒがこれに次ぎ、ⓓはまれにしか見いだされず、その産出は球状体の密集度の低い部分に限られるようである。 ⑸ 笠貝島球状斑れい岩の成因 笠貝島における球状岩の構造及び産状は、本邦の各地で知られる酸性深成岩の球状岩とはその成因が全く異なることを教えている。詳しい生成の機構については未解決であるが、塩基性マグマの地下深部での冷却・固結の際に、早期に晶出固結した細粒~中粒斑れい岩が、それより後期に固結した粗粒~極粗粒斑れい岩のマグマに取り込まれ、融食・変質されながら球状の痕跡こんせきとして残った一種の包有岩と考えられる。一般に包有岩は火成岩には普遍的に見られるものであり、とくにより塩基性の岩石がそれよりも酸性の岩石中に礫れき状に取り込まれている例は多い。しかし、本岩のごくほとんど同質で本質的に同様な鉱物組成を有する岩石が取り込まれ、しかも大きさが一様で密集している例は知られていない。 三 町指定天然記念物 ⑴ 塚浜のタブノキ タブノキは暖地に自生するクスノキ科の常緑喬木きようぼくで、しばしば十数㍍に達することがある。葉は長倒卵形、全辺 390

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