女川町誌 続編
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岩型ⅣとⅢは漸移するが、岩型Ⅳのペグマタイト脈の形成に伴う変質作用が岩型Ⅲの岩型Ⅳ寄りの部分に発達することから、岩型ⅢはⅣより先に固結したと判断される。 以上のことから、各岩型の迸入固結の順序は岩型Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの順であると判断されるが、迸入はほぼ連続的で相互にあまり時間間隙はなかったと思われる。 ⑶ 球状斑れい岩 球状斑れい岩は岩型Ⅳに部分的に発達する球状構造を有する岩石であり、角閃石及び斜長石を主成分とする優黒色粗粒~極粗粒斑れい岩の石基(球を直接取り巻く母岩の部分)と、それと鉱物の組成をほとんど変えない細粒~中粒斑れい岩の球状部とからなる。その特異な岩相は球状部の構造に問題はあるが、塩基性深成岩に見られるという点で本邦においては稀有けうの存在である。球状部の斑れい岩は石基のそれに比して変質が著しく、変質鉱物は緑泥石、緑れん石と炭酸塩鉱物で、これらのために風化すると緑白色を呈し、石基に対し球状部をいっそう浮き上がらせるものと思われる。以上の鉱物のほかに本岩には輝石、黒雲母、磁鉄鉱等とまれに石英が見られる。本岩の主部では球状体の密度が高く、全岩に占める割合がしばしば六〇~七〇㌫に達する。しかし、本岩体の西北緑では点在するにすぎず、粗粒斑れい岩に漸移する。他の斑れい岩に普遍的に見られる同源捕獲岩としての輝石や外来捕獲岩が、本岩ではまったく見られないし、ペグマタイトの貫入もごくまれである。このような捕獲岩やペグマタイトの産状は興味深い。 388

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