女川町誌 続編
41/596
また、同大会相撲教員の部で優勝した宮城県チームの監督木村忠三氏(現町会議員)は、自らも選手として過去数回国体出場の実績をもつ県相撲界のリーダーである。 文化面では、通産省工業技術院地質調査所の滝沢文教技官が、本町笠貝島で球状ハンレイ岩の露頭を発見し、世界で珍しい例として宮城県の天然記念物指定を受けることになった。 しかし一方では、高度な経済成長と急速に進む技術革新が、古くから親しまれてきた生活様式、用具の多くを過去の世界へと押しやってしまった。サッパ舟の艪ろのきしみ、焼き玉エンジンの軽やかな響きは、海沿いの町に郷愁をはぐくんだ懐かしい音であったが、このころから耳にすることがめっきり少なくなる。自動車の普及に大きな役割を果たしたオート三輪が姿を消し始めたのもこの時期である。冠婚葬祭での披露宴や法事などが商業ベースに乗り始めたことで、相互扶助の組織として長い歴史を持つ〝講〟が解散し、座敷唄うたとして〝お振舞ふるまい〟をにぎわした遠島としま甚句も、 9
元のページ
../index.html#41