女川町誌 続編
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磁気脈動として観測されるまでのしくみが次第に明らかにされつつある。 さらに地磁気を乱している真の原因を探るには、地球上の観測網とあわせて、宇宙空間でも磁気を観測する必要がある。そこで最近観測所では、同所で開発した磁力計をロケットやハレー彗星探査機にのせて、直接宇宙空間の観測も行っている。先年の「さきがけ」によるハレー彗星の観測は、彗星のさまざまな尾の乱れや、彗星から発生した磁波などの研究によって、国際的に大きく評価された。 きたるべき二十一世紀に人類が宇宙新時代を迎えるのは必然である。このようなとき、女川観測所における宇宙開発の研究は国際的にも期待されている。 三 東京大学地震研究所江ノ島津波観測所 (東京大学助教授 江ノ島津波観測所長 都司 嘉宣) ⑴ 設立の経緯 よく知られているように、日本は世界有数の津波被災国である。地球上の地震による津波の八割以上が環太平洋の付近に発生しており、日本列島のほぼ全体が南海、日本海溝のトラフに面した長い海岸線を持っている。日本語の「ツナミ」が世界語となっているのは、日本が津波被災国であり、またその研究の面でも世界をリードしてきたことを反映している、といってもよいであろう。ことに女川町を含む三陸海岸と、北海道南岸、それに、東海、南海の巨大地震による津波をしばしば経験してきた紀伊半島、四国南岸などは、世界の津波研究者には今さら何の説明も要らない津波の常襲海岸である。 375

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