女川町誌 続編
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第二節 観光 本町に観光協会が設立されたのは昭和二十五年で、県観光連盟からの呼び掛けに応じてのことであった。漁港としての前途も明るく、人口も増加の一途をたどっていた当時の本町にとって、観光の振興は現在のように差し迫った課題とはなっていなかったのである。そうした環境の中で、金華山観光の基地として本町の地位を確立させた先人の努力の跡は『女川町誌』に詳しい。本町活性化の方策の一つとして観光振興がクローズアップされ、大きな期待が寄せられている今、われわれは改めてこの遺産の大きさを思い知らされる。 金華山観光の基地としての本町は単なる通過地にすぎないとする声もあるが、金華山に匹敵する目玉がなく、また急にはそうした大きな目玉を作ることの難しい本町にとっては、やはり金華山観光の基地という基盤に立って通過客の足を留めさせる方策を考えていくことが最良の道であろう。将来、出島架橋が実現した暁に、大資本の進出でもあれば、望外の幸運であろうが、それを当てにするわけにもいくまい。だからといって、観光施設に町が巨費を投じる 285

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