女川町誌 続編
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前後の施設を有するにとどまっていた。昭和四十九年度の地域指定による水産物産地流通加工センター形成事業として、女川魚市場買受人協同組合が事業主体となる製氷・貯氷施設が新設され、昭和五十四年からの操業で製氷・貯氷の能力はかなりの向上を示した。昭和五十九年には女川遠洋漁業協同組合が事実上の解散状態となり、事業を停止するが、他の三企業体の施設の拡充が進み、昭和六十三年度現在、合わせて製氷能力日産二六〇㌧・貯氷能力一日六八八〇㌧に達している。しかし、製氷能力に比べて貯氷能力はまだ不十分であるため、製氷施設のフル稼動が阻害され、氷需要量の約二〇㌫を年々移入に頼らなければならない状況が続いている。しかも、その移入先は輸送費のかさむ関東・新潟といった遠隔地であり、製氷能力に見合った貯氷能力の向上が今後に残された課題となっている。 現在水産加工業の主流となっている冷凍は凍結と冷蔵を一語に合成したものであって、凍結には零下三五度から四〇度、冷蔵には零下二〇度から二五度程度の低温を必要とし、施設は凍結の方が規模も大きく多額の設備投資を要する。こうした事情もあって、昭和四十年代に始まる急速な加工業施設近代化の過程で、資本力、その投資のタイミング、設備規模の適否などにより、次第に業者間の格差が増し、盛衰の変遷が見られた。 製氷・貯氷、冷凍はともに施設稼動の経費の中で電力料金の占める割合が大きく、その低減のため業界は機会あるごとに陳情を続けてきた。原子力発電所の稼動開始に伴い、立地町への配慮として東北電力も誠意を示し、少しずつではあるが料金引き下げが実施されているのは喜ばしい。 248
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