女川町誌 続編
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※伊豆国田子浦の製法(傍線部は「本町の製法」との主 な相違点で、文末に一括して対応する本町の製法を示 した) まず1大桶の清水に浸しておいた鮮魚を取り出し、2頭を落とし腹を裂いて内臓を除去し、3樽に満たした水に漬けて血を抜く。その後これを風通しの良い場所で蒸し籠又はスノコに並べ、身卸しを行う。4身卸しは尾から包丁を入れ、背骨(中骨)に沿って両片身を離し、身割き包丁で各片身を二片ずつに切る。背部の片を雄節、腹部の片を雌節という。これらを、雌節を中央部に、雄節を周辺部にして藁わらを敷いた煮籠に並べる。この時各片ともすべて最終の切り口を下にする。煮籠一枚に一四から二四節を置く。この作業を籠立てといい、作業中に身が崩れやすいので細心の注意が必要である。 次に5煮籠六、七枚を重ね、釜に入れて煮沸する。この際、最上部の煮籠は浅めのものを用い、節に代えて身卸しで切り落とした頭や背骨を盛る。これは後述のモミソクイに使うためである。また、最下部の煮籠は、釜かまの形状に合わせて径が他より一寸ほど小さいものとする。煮沸は沸騰後二、三〇分続け、水は軟水が良いとされる。 適時を計って釜から上げた節は冷却するのを待って、水を張った骨抜きタライに入れ、雄節は七分、雌節は三分ほど上部の皮を剝ぎ、指で粗大な骨を抜き取る。骨抜きの後また蒸し籠に並べ6前風呂に掛けて軽く乾燥する。これを水抜きという。前風呂はカマドの炊き口に被せるように置き、カマドの火を利用する。 水抜きした節は冷却を待って損所を調べ、ヨウバチタライを前にしてモミソクイを施す。モミソクイは毛抜きで細骨を抜き去るとともに、前述の頭や骨に付着している身をすり身にして節を補修し、その表面を滑らかにし、ヨウバチタライの水に浸した和紙を繕いを要する箇所に貼ってその上から節の形を整えてやる作業である。ちなみにソクイは「飯粒を練って作る糊」を指す語である。 241

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