女川町誌
973/1094

第十三編人物・旧家地方史に於て人物の取扱は、その重要な部門を占めることであるが、郷土が生んだ人物とか郷土の振興発達等に貢献した人物の中から、特に異色のある人物をという観点に立つて詮索して見ると、意外に困難な問題に逢着する場合が多い。詮衡の範囲とか人選の基準ということになると、どこで線を引くかということは難事中の難事で、見方によつては問題のあることである。 本誌の編纂に当つては、第一に郷土出身者で地方の発達と振興に尽瘁した人物、第二に他郷人で永く本地方に居住し地方の開拓と発展に貢献した人物の中から、更に郷土人が常に尊敬し、また感謝している人物を挙げることにした。そしてここでは総て故人となつた人物につき、その閲歴や功績等は、文献・碑文や口碑伝説等によつて略述したのである。 思うに地方の開発・振興には、その地方の地理的条件や経済的条件が大きな要素をなしていることはいうまでもないが、更に人的条件を逸することは出来ない。例へば女川の築港を実現するためには、この一大事業をめぐつて幾多の人物がこれに関係し、陰に陽に活躍されたことであり、また、女川の漁業の振興には隠れた多くの功績者がある筈である。特に地方の行政の運営には幾多の人材を要したことであると見られる。かような意味に於て人物編は慎重を期し、今後更に郷土人物の調査研究を進めて、地方開発の原動力をここに求めることは極めて肝要である。次に以上の観点から詮衡した女川地方関係の主なる人物につき、その事歴等を述べることにする。なお終りに各戦役に於ける女川町出身の戦歿者の芳名等を掲げることにした。 第一 女川町の人物 一、初代大肝入丹野大隅 (安永風土記より採録) 903

元のページ  ../index.html#973

このブックを見る