女川町誌
961/1094

なんばん(とうがらし)を食べると頭が禿げる。日光の通らない家は棺桶が通る。九日餅はつくものでない(主として正月用の餅を十二月二十九日につくなという意にいう。またこれは二十九は二重苦だからと言つてるが或人は之をまぜつかえしていやいやフタトクだからめでたいとも言つてる。)朝茶はその日の難をのがれる。茶柱が立つとよい事がある。一服茶を飲むと坊主に逢う。着物を洗濯したら一度たたんでから着ろ。家のまわりに○木を植えるな(部落によつて異る。杉・松・くるみ・桐・柿などで大きくなる木は衛生上よくないからであろう)着物を掛けるとき前を北向にかけるものでない。北向に本家はたてるものでない。庭木が屋根より高くなればわるい事がある。火柱が立てば倒れた方に火事がおきる。蛇が家の内に入ると漁をする。犬がくびかく(うなつてなく)と不思議な事がおこる。烏なきがわるいと死人が出来る。猫がおどれば風がうなる。めんどりが、ときをつけば悪い事がある。次の方角に本屋、門、便所を建てるとか井戸を掘れば大難にあう。荒神・金神・鬼門(未申)土用中には屋敷内の土を移動するな。天王様のお祭りに上げないうちはきうりを食べるものでない。初胡瓜をカッパ神様に上げてからでないと水泳ぎはするものでない。旧六月朔日の前夜ノミの舟を寝室にまく。翌朝その舟にノミを乗せて川や海に流す。(ノミの舟とは大黄、俗名馬のスカンポの実のことである。)五月人参、四月牛蒡、六月なすびを蒔くものでない。大型船は金曜日は出航するな。(洋風のまねか)旧十二日は山神の祭日だから山入りするな。二渡神社・庭足神社を祭る部落及び江島では鷄を飼つてはいけないと固く守つている。発音から来て忌むもの三切れ(身切れ)、門松に黒松(苦労待つ)、四(死)、四十二(死に)、四十九(始終苦)。旅立つ時の料理に縁起がよいとされているのは豆とクルミ(まめで帰つて来る身。)漏つて船に入つた水は水と云わず閼伽(仏前に供える水。船の水垢の意)という。礦山の坑道は穴と言わずスキという。のどに骨がささつたら仏前に供えた水を飲むと取れる。家建には焼肴を使うものでない。御祝餅はやいて食うものでない。急病人でなかつたら彼岸や盆中に入院するな。891

元のページ  ../index.html#961

このブックを見る