女川町誌
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死人の室に猫を入れると死人があれる。友引仏滅三りんぼの日に葬式すると後に続く者が出来る。(仏滅をきらわない地方もある。)一年に二度葬式すると三度になる。だから二度目には人形も入れるか或は葬式をしないままにしておくものだ。妊婦は⑴死者の顔を見るな⑵葬式に出るな妊婦の夫は陸ろく尺しゃくをかつぐものでない。葬式から帰ると家の入口で塩と味噌で清め又幣を以て祓をする。水死人を拾いあげると大漁をする。寺や墓地で転ぶと死人に引張られる。あら繩を帯にするのは葬式(入棺)の時だけ。屋外で死んだ人は一応屋外にむしろをかけて置くものだ。そして縁側から入れる。同年の友が死んだら耳ふさぎ餅をつくものだ。死人には一杯飯に箸を立てて供える。死人はすべてひらきから出入させ玄関からはさせないものだ。死人の着物以外は一枚を同時に二人・三人で縫うものでない。着物を左前合せに着るのは死人だけだ。食物を箸から箸にうけ渡しするのは死んだときだけである。死後の四日目は葬儀弔い悔みなどするものでない。松の葉中に死者が出ると出入しない。最近親類で悔み手伝など是非しなければならない者は自宅の松をおろすこと及び他家へは絶対出入りしないものだ。死者の家族は神社祭礼の行列に加わつたり御輿かつぐ等をしない。死人の外は北枕にねかすものでない。重い病人は引き潮に目をおとす。三人で写真と撮ると中の人は死ぬ。一へら盛の御飯は死人にあげるものだ。⑵婚姻出産に関するもの婚礼によい日は大安、友引、先勝わるい日は仏滅、三りんぼ、不成就日、申、寅女は二十二才の結婚はわるい。妊娠中兎をたべるといぐちの子を生む。婚礼の行列が行き逢うと負け勝がおこるから互にお祝をする。七月に婚礼はするものでない。(盆の月)嫁は台所から婿は玄関から入れろ。三三九度の盃の時酒をこぼすと病気になる。出産のあつた家で火をつかつた者は火ひ水みずがわるいから他家へ出入するな。漁船・船員・機械取扱などは産火を甚しくきらつて出入しない。沖から帰つて自宅に出産があれば一定の日まではいらない。産火ある家で水を貰う時は、途中まで行き門から遠慮してはいらないで汲んでもらう。889

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