女川町誌
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年三、四名入りて頭部の活動を助ける。12旧暦を用う本邦に於て太陽暦を用うることは、明治五年特に大政官の布告によつて明かであるけれども、辺土の民間は尚未だ旧暦を廃することができないでいる。漁業上に於ては月と潮の満干との関係は殆不変の関係にあるので、今旧暦を用うるときは、子々孫々永久に月日によつて潮の満干を知る事が出来る、かかる理由から海浜の漁業地では特に旧暦を用いているのである。13舟道具無断使用此の悪習慣がある為に休漁の止むなきに至つた事がある。こんな悪い習慣は絶対に止めなければならない。以上の中伝統として良いものは温存して置くべきであるが、今日の生活改善の見地から見て改善すべきは一日も早く改め、廃止すべきは思い切つて廃止し、総てを合理的に而も簡素を旨とすべきである。六、女川地方の俚諺民俗として代表的な信仰や風俗を書いたが、更に俚諺的に言いならされていることを、町内の各学校で集録したものと、教育委員会や町誌委員会が古老十数名と会談集録したものとを合せて整理しここに加えることにした。分類に不十分な点もあるが大様次のように分けて掲げることにした。A気象に関するものB俗信迷信習慣に関するもの⑴主として弔祭に関するもの⑵主として婚姻出産に関するもの⑶主として盆正月に関するもの⑷雑この俚諺的に言いならされて来た民俗を研究して感じたことは(イ)こんな事を言つてるから迷信やバカらしい習慣がぬけないのだ。(ロ)これは礼儀作法や衛生上の心得をうまく言い表わしているよい教訓だ。(ハ)これは俗信ではあるがよいことだ、とがめだてする必要はない。(ニ)これは毒にも薬にもならない。気休めとかお愛嬌位にはなる。(ホ)気象に関するものは流石に生命財産に直接つながつているので、迷信的のことは甚少く信馮性の多いものが多数ある。而して女川町農漁山村の人々の大部分を支えて来たこの民俗を如何に修正善導するかはかるがるしい問題ではないと思う。A気象に関するもの夕やけは晴れになり朝やけは雨降りが近い。夕虹はみのをぬぎ朝虹はみのを着る。月の上り、日の下りにカサがかかれば雨が間近い。西風は晴れ東風は曇る。寒かんに西風吹けば荒れ、北風吹けば凪ぎる。冬至に西風吹けば凪ぎ、北風吹けば荒れる。夜星が輝けば西の風が来る。雲がちぎれて飛べば風が強くなり、ひろがる時は雨となる。西から起きた雲が東に停滞する時は東の風となり、南から起きた雲が北に停滞する時は南の風となる。春の彼岸から秋の彼岸までは稲妻の光る方から風が吹き、秋887

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