女川町誌
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て出島水道に臨み、西は尾浦半島と相対し、北に鮹島等が横たわつて内海を成している。従つて北風や東風はもとより、西及び南の風もまた暴風でない限りは穏かで、海面常に鏡の如く船舶の出入と繫留に至便である。古来天候険悪にして海上の航行至難なる折は、多くの船舶はこの湾に難を避けた例が少くない。なお鮹島始め対岸尾浦などの山々の景観がうるわしい。更に夏より秋に亘る鰹漁期になると、小網と称して鰹釣りの餌にする鰯漁を目的とする建網を行うので、南は三重より北は岩手方面からの漁船が輻輳して賑かである。寺間湾この湾は出島の南部に位し、女川湾に臨んでいる。湾は南方に開いた幅約二丁、長さ三丁程の入江で、小船の繫留には頗る便利であるが、南風の危険がある。南風の強い時は鰹漁船や運送船は、何れも出島に回航して難を避けている。昭和八年この湾の南口に東西約六十三米の防波堤を建設したので、小船舶の碇泊にも便利になつたが、大船の碇泊には適さない。安永風土記の出島の項には、次の様な嶋と浦崎の名が載つている。島(拾六)蛸たこノ島鵜うノ島弥太郎やたろう島毘沙門びしやもん島小繩こなわ浦崎(弐拾)狐ヶきつねか崎田たノの尻しり崎中ノなかの浜はま崎六之ろくの浦白浜しらはま斗と根ね島大繩斗根島木きの島池いけノ島鞍懸くらかけ島中崎なかさき小島崎鼻はな岩いわ崎外と深ふか浦大沢おほさは浦大舟おほふな浜はま崎須江崎別当べつとう浜はま寺てら間ま島四よツ島大おは島蛭ひる島白根しらね島堂ヶ崎どうがさき島丸根まるね島崎七しち把は岩いわ崎よなこ立浦磯店いそたな浦かいたて浦鳥とりノ浜赤根あかね島兄弟きようだい島崎明神崎青江あおえ浜ばま崎⑷出島の気候出島は大陸に近い離島で、四面に海を繞らしているので、概して気候は温暖である。夏季は殆ど暑熱の苦を知らないばかりでなく、冬季は僅かに尾浦御殿山一帯から吹き下す西北風に寒気を感ずることはあるが、降雪も少く六、七寸を越えることはない。867
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