女川町誌
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善知鳥が飛来する。特に花崗岩から成る足島にはその数が最も多く、数千の海猫が一時に飛び舞う際は、全く島を覆いつくして天日ために暗く、その叫び声は耳を聾せんばかり、真に天下の奇観である。生物学者朴沢三二博士の遺稿『海鼠の骨』によれば、「海猫という名は啼声が猫に似ているからである。学術上海猫と鷗とは別種で、海猫には尾に黒色の帯があるが鷗ではそれがなく全部白い。海猫は平時には海上に離散しているが、蕃殖時期になると陸を離れた島などに群集し、其処で巣を営み卵を産み雛を育てる。雛が幼鳥となりやがて自由に飛べる様になると親鳥と共に蕃殖地を飛び去つて離散してしまうのである。江島の小島に海猫の群集を見るのは、冬至より八月に至る期間で、その頃もし人が島の内部に足を踏み入れると数千の海猫は一挙に飛び立ち、大群をなして島の上空を大円陣を描きながら飛び廻る。その光景は実に壮観を極める。その時の啼声は実に喧騒なるもので耳を聾するばかりである。またその時彼等の排出する糞は雨の如く島上に注がれるのである。海猫の蕃殖地として有名なのは江島の外に青森県蕪島・島根県経島・岩手県859 海猫の群棲する足島 海猫の孵卵の瞬間

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