女川町誌
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この表にはA・B・C・Dの四つの労働様式があげられている。この四つの労働様式は、「サッパ漁業」からいかなる過程を経て、資本経営内部の労働者が出来上るかという事実を示すもので、Dという様式は、年間のほとんど大部分を「サッパ漁業」によつてその生計を維持し、極く短期間二か月だけサンマ漁業に雇傭される部分的漁業賃金労働者で、このような様式は非常に少い。僅かに〇・八%である。C群に属するものは鰹の期間中、即ち四―九月だけ労働者として鰹漁船に雇傭されて、残余の期間を、「サッパ」を行うか、あるいはサメの期間に共同労働に参加するが、あるいは鮫網の修理を行つたもので、この群では「サッパ漁業」が小部分残存しているのがその特徴である。この群に属するものは鰹漁撈の好況又は不況によつて著しくその生活の安定が左右される。年間の大部分を近海漁業の経営内に雇傭される労働者群で、冬期の四か月即ち十二―三月を「サッパ」を行うもので、少くても雇傭労働中はその漁獲対象は、鰹・サンマと変化する。けれども、漁船は変化しない。同一の経営者の漁船によつて雇傭労働を続けることが可能である。それにしても毎年冬期の四か月は失業状態にあるといつてよい。この期間中かれらは「サッパ」をやつたり、網の修理をやつたりしてその生計を維持する。次にA群は、まづ完雇傭といつてよいと思われる雇傭状態にある漁夫群である。これらの漁夫は年間を通じて、近海漁業に労働する。四―十一月の終りまでは同一の経営者の同一の船によつて鰹一本釣とサンマ棒受網に労働する。それが済むと十二―三月までサメ網に移動する。そのサメ網は二〇トン級の船であるから、多くは共同共有の経営友労働方式をもつている。この中には、共同の船をもたない漁夫群がある。もし鰹・サンマの一〇〇トン級の漁船がその漁期を終つて上架しなくてはならない事情になると、かれらは共同のサメ網船を持たない場合には、この期間中磯をやるかあるいは「サッパ漁船」すらも持たないものは完全失業に陥る。次の表のA群中の第850

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