女川町誌
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気配を示すに至つた。漁業一般の沖合に進出するにつれ、沿岸漁業が不振となると共に、それを支える為めに小型動力船と鮫刺網組が次第に数を増してくる。一方鰹・鮪船に乗組み、又は加工就労のため島外に出稼するものもまた漸増した。江島の立地条件は漁業以外の生産を許さない、しかも漁港を発達させることが出来ず、漁獲物の販買市場は当然島外に求めなければならない。それ故江島唯一の経済的基礎たる漁業は、地先漁業の盛衰とともに動揺せざるを得なかつた。このように大規模な漁業が形成される礎地を欠く江島では、昭和二十三年迄在住した鰹船経営者が、資本を蓄積するや離島して女川港に転住したことからも明らかな様に、所謂有力上層とのさしたる雇用被傭の関係をみず、地先漁業経営者規模に若干の層化を示しているが、同程度に零細な多数の家族経営体を残すのみである。島内に於ける共同性の基礎は小規模な地先漁業の就着という要素にある。江島の共同の物質的基盤は㈠地先の小漁にあると思う㈡鮫網組について共同性㈢漁協活動の共同性更に㈣契約講の共同性これらの共同性に共通する特質は、地先漁業の性質に相通ずるもので、漁業近代化の過程から取り残されたし、地先小漁の前近代的な性格が江島の共同の性格の基礎である。江島の経済的基礎としての漁業は主として、㈠地先小漁㈡鮫刺網組㈢鰹船乗組という三つの形態をとつている。840
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