女川町誌
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(国務大臣男爵山本達雄君登壇)国務大臣(男爵山本達雄君)私は東北地方震災の大略を御報告を致します。昨朝東北地方・北海道・関東地方及本洲中部地方に起つた震災の被害の情況を申述べますれば、被害は強震地帯殊に岩手県に於きまして甚しく、宮城・青森・北海道、之に亜ぎ、其海岸地方に於きまして何れも海嘯を伴ひ、又岩手県釜石町に於きましては地震と同時に火災を起しまして右以外の地方即ち山形・秋田・茨城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川の各府県に於きましては被害は極めて僅少でありまして、死傷者、倒潰家屋はないとの知事よりの報告に接して居ります。地方を視察せしめました事務官の報告に依りますと、宮城県金華山以北より岩手県の海岸に亘り一帯に其被害大きく倒潰せる家屋等相当多く、且つ流失せる木材並に流失船舶家屋の破片等が海岸一面に浮んで居る状態でありまして、取分け釜石町附近各部落に於きまして其情況最も惨澹たるものと認めたと云ふことであります。而して其情況は昭和五年北伊豆地方震災当時の被害を遙に凌駕するの有様であります。今人及家屋其の他の被害にして本日午前零時までに判明致しましたる分を申しますれば次の通りであります。死傷者等の数を県別に申述べますれば岩手県に於きましては気仙・九戸・下閉伊・上閉伊の四郡が主でありまして死者千三百八十名、傷者二百七十六名、行方不明が六百九十六名であります。宮城県に於きましては牡鹿・本吉・桃生の三郡が主でありまして死者百三十六名、傷者二十五名、行不明が百二十七名であります。青森県に於きましては三戸・上北の二郡が主でありまして死者八名、傷者三十七名、行方不明が二十一名であります。北海道に於きましては日高国が主でありまして死者十一名、傷者なし、行方不明が四名であります。以上を総計致しますれば死者千五百三十五、負傷者三百三十八名、行方不明九百四十八名であります。次に家屋の損害に付き申述べますれば、岩手県に於きましては倒潰が九百七十一戸、流失が二千四百五十三戸、焼失が二百十一戸、浸水が五千四十四戸、計八千六百七十九戸であります。宮城県に於きましては倒潰が二百八十三戸、流失が四百四十戸、浸水が千二百二十九戸、計一千九百五十二戸であります。青森県に於きましては倒潰が十三戸、流失が五十九戸、浸水調査中、計七十二戸であります。北海道に於きましては倒潰が十二戸、流失十一戸、浸水七十戸、計九十三戸であります。以上家屋の被害を総計致しますれば倒潰が千二百七十九戸、流失二千九百六十三戸、焼失二二百十一戸、浸水六千三百四十三戸、計一万七百九十六戸であります。更に震災に伴ふ海嘯に因り左の如く船舟の流失を見ました。宮城県が千九十六隻、青森県が三百七十隻、北海道が十四隻、岩手県は目下まだ調査中であります。右の外漁具の流失も相当多数に上る見込であります。以上が昨日の震災に因る被害状況の大要であります。次に震災直後内務省の取りました応急措置を申しますれば、取敢へず事務官を飛行機に依り昨日震災激甚地に急派致しまして一般状況を視察せしめました。又救護状況の視察のため事務官を現地に急行せしめました。尚ほ又本日は丹羽社会局長官を805

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