女川町誌
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第八編津波・凶荒第一章女川地方の津波第一節天災地変の歴史地震・津波・海嘯・暴風雨・洪水・土砂崩及び冷寒・干魃などを天災地変と呼んでいる。吾々は常に天災や地変の起らない様にと願つているが、思いもかけぬ時に天災地変が突発して、人を驚かし、地方民を苦しめ、果ては多くの人命を奪い、財宝を消滅するなどの悲惨事が繰り返されている。各種の天災地変は世界各地、国内各所に突発していることであるが、吾々の住む東北地方、特に三陸海岸地帯には地震・津浪・海嘯及び冷害などの数が多い様である。吾々の祖先が如何なる天災地変に遭い、如何にこれを切り抜けて来たかを詳かにし、今後如何にして郷土を護り吾々の生活の安定を図つて行くかは極めて重要な問題である。先ず、東北地方の歴史の中から天災地変の主なるものを抜き出して見ることとする。津波と海嘯の別津波(浪)とは大波浪が俄かに海岸を襲うことで、地震・海底変動・暴風などによつて生ずる不時の波浪が陸地に襲来するものをいうのである。791

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