女川町誌
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が一本あつて自然林をなしているのは波止場附近の山地である。江島にては切られて大木というものは松位であるが、もちの木は天神様のほとりにあるくらいのもので亡びんとしている。出島の寺間と出島の波止場附近には自然林をなしている。尾浦には老木があるけれども自然林をなしている所はないようである。「さかき」万石浦の南東方針浜の山林内に点在し、五部浦の各地にも点在している。出島・足島等にも相当あるが出島には殊に多い。町の東部は桐ヶ崎方面から竹浦・尾浦・御前・指ヶ浜等にもある。「もくれんじ」(木欒子)万石浦の西岸大沢部落の入口右方即ち県道に接するほとりの山林中にあり、また南東岸針浜の秀蔵庵附近にもある。「椿」町内各部落に殆ど分布しているが、特定の目的即ち椿油を取る為めに植えているのは大沢と塚浜二か所、数の多いのは江島列島や出島等で、これ等の地方の南側に生いているものは冬季も花を咲かせている。「松」自然林としての松は殆ど赤松で、海岸の断崖地や島には皆生いている。山林にも各地に点在しているが黒松は近年の植樹にかゝるものゝみである。要するに当地域は、その地勢や海流等の関係から、暖地性・温地性の植物、それに寒地性のものも交互混淆しているので、植物相は全く多彩である。この海岸地帯の林相が特に沿岸漁業に密接な関係のあることは、当地方として之を重視していることであるが、常に之が保護に留意することが肝要である。20 塚浜のもちの木
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