女川町誌
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立場にある東北大学理学部付属地磁気観測所である。だれでも知つているように地球は大きな磁石、人類と関係が深いだけあつて磁場に関する観測は百年以上もの間絶えず行われて来た。その地磁気の変化を観測するのが日本では、女川を初めとして茨城県の柿岡、北海道の女満別、和歌山県の下里、熊本県の阿蘇、鹿児島県の鹿屋の六か所にある。此所女川に観測所が建てられたのは昭和二十一年のこと、それから十数年施設も次々と整備され、奥行三十メートル、幅四メートル、高さ四メートルの地下観測室は一年中摂氏一四・五度に保たれ、外からの振動や気流は一切遮断され、こゝには普通型磁気偏差計二台ラクール型、高感度早回磁力計がおかれてある。この高感度早回磁力計は今度のIGY観測に備え、世界で同じ機械で同方法で測定しようとして斎藤尚生氏の手で製作されたものである。丘の上の十五坪の実験室の隣には鉄分を避けて木造三坪の地磁気絶対観測室がある。こゝには水路部型地磁気絶対値測定機と東北大式の測定儀を置き、地磁気の絶対値を測定して偏差磁力線の基線を決定している。世界のパイロットオブザバトリールに指定されてあるだけに、世界の最先端を行く近代科学の粋を集めた。観測設備・観測技術を誇つてる。例を言えば太陽の黒点などの影響を受けるこの微細な地磁気の変化の観測は、普通の羅針盤の一万分の一の正確さまで測定されている。本所の職員は所長外助手一名、観測員二名を配置している。現在所長は東北大学理学部の加藤愛雄教授である。708
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