女川町誌
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毎年夏には水産学科の学生二十数名が来所して実習に当つている。その他随時研究者が来所して研究に従事しているようである。なお特に昭和二十二年八月六日今上陛下東北御巡幸の折、親しく御視察の光栄に浴したのである。第四節東北大学附属地磁気観測所一、地磁気観測所の沿革東北大学理学部創設の当初は、仙台市郊外向山観象所に於て地磁気観測並びに研究が行われ、若干の設備を有し、昭和七年の第二回国際極年観測にも参加して国際協同観測が行われた。その後仙台市内電車・私鉄秋保電車・国鉄仙石線の電化拡張などにより、その人工的電気障害をうけ、地磁気観測は全く不可能な状態になつた。昭和二十一年人工的電磁気障害のない現在位置の女川に絶好の地下壕のあるのを利用し、女川町当局の援助を得て地下観測室を作り地磁気の観測を開始した。翌二十二年現在の地下観測室の上の丘上に地磁気絶対観測室を、同二十四年には庁舎及び実験室を新設し、更に電気水道等の附帯施設を行い、同三十年には東北大学式電子管自動平衡磁力計室及び誘導磁力計設置室を新設して、漸く観測施設が充実するに至つた。地下観測室はその後更に内部改装を行い、一年を通じ恒温恒湿で地磁気観測には絶好である。本観測所に於ては誘導磁力計による「地磁気の時間的変化」の観測を初めて当時観測を行い、現在国内は勿論国外に於ても最も注目され、この方面の観測及び研究の指導的地位にある。又同三十年には東北大学式電子管自動平衡磁力計を発明して、現在我が国で最初の精密な直視式磁力計として常時観測をしている。706

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