女川町誌
775/1094
女川湾の気温は一月上旬が低く、又北西の季節風が相当強いので寒さの厳しいこともあるが、海上操作を行い得る日は少くはない。気温は時には零度以下に下る事もあるが、海水温度の影響で厳寒期も仙台よりは暖く、また夏は三十度を突破する事は稀で極めて凌ぎ易い。湾内及び附近は動植物が極めて豊富で、且つ変化に富み、沿岸暗礁や海底は何時もおびたゞしい獲物で採集者を喜ばせて居る。特に興味ある事は金華山が我国水棲動植物分布の限界線をなし、この附近には寒暑両帯の動植物が錯綜して見られる事である。この事に就いては生物調査の結果既に発表される幾多の報告に述べられて居る。尚プランクトンも亦豊富で、内湾遠洋両性のものを含み、四季の変化も著るしい。三、実験所の設備実験室・寄宿舎・物理化学実験室・天秤室兼実験暗室・水産化学実験室・海洋調査室・水産生物実験室・生物飼育室・研究室・事務室・図書室・実験室海水タンク・水道ポンプ室・生物飼育フレーム・コンクリート水槽・倉庫・テニスコート四、実験所の研究内容1水産動植物の養殖に関する研究2水産物の利用化学的研究3魚類の資源学的研究4海洋の生産性に関する研究等本所の職員として所長以下六名、所長は現在東北大学教授今井文夫氏である。705
元のページ
../index.html#775