女川町誌
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離島である江島は、半島とは自ら気象に多少の相異がある。江島は陸岸より数海里も離れているので一段海洋の影響を受けて四時温暖で、気温に変化が少ない。しかし春は残寒が容易に去らず、晩秋より翌春にかけて西風が烈しく、一、二月の候は最も甚しいので、小漁船は一か月の殆ど三分の二は出漁も出来ない状態である。なお女川海岸から江島・金華山に亘る太平洋上は、春より夏にかけ、この海洋の特色として濃霧に襲われることが多い。女川湾頭に桐ヶ崎(霧ヶ崎)の地名のあるのも、是等の事情を物語つていると見られる。二、女川地方の季節次に掲げる「仙台七十二候」は、天文家として有名な仙台藩士戸板善太郎保祐が、安政年間に調査研究された仙台地方に於ける四季の気象を具体的に表現したものである。一月を五日毎に区分して六候とし、一年を七十二候としたもので、勿論当時の陰暦によつたものである。括弧内に記されているのは、『新撰陸奥風土記』の著者保田光則が、戸板氏の研究に、更に各季節の景観を書き添えたものである。この仙台七十二候の気象は、当地方の季節に大体一致12

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