女川町誌
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並に交通観光の勧奨に一大進展を見せ、堅実にして進取的な歩みを続けているのが女川町現在の姿である。第二節位置・地勢本町は宮城県東部の太平洋に突出する牡鹿半島の頸部に位し、深く湾入した女川湾を擁して、東方一帯は太平洋に臨んでいる。西は奥深く入り込んだ萬石浦を隔てて旧渡波町に親しく接し、また篠浜山(三六〇米)より茂附山(四〇〇米)に連なる山岳を以て稲井村に隣している。南は大六天山(四四〇・三米)及び袴ヶ岳(三五八・六米)などの高峰を結ぶ山岳によつて、萩浜や大原の旧両村即ち牡鹿町に境し、北は雄勝峠(四二五米)より石投山(四五六・七米)、高梨山(三〇六米)などの北上山脈の山々を界として雄勝町に接している。女川湾はリアス式海岸である三陸沿岸の南部に位し、本県海岸の中部に位置して、金華山沖漁場に近く、横浜と函館間の海路五五〇哩の略々中間に位し、更に遙か東はアメリカ合衆国のサンフランシスコやカナダのバンクーバーに直面して、米国航路の最短距離に在るといわれている。なお地球上に於ける女川町の位置は、北緯三八度二七分、東径一四一度二七分に位している。女川町の地勢は、西方に北上山脈の主脈が略々南北に走つて牡鹿半島の脊梁をなし、東方は太平洋に臨んで海岸線の屈曲に富み、全長実に四八粁、女川湾を始め御前湾・尾浦・野々浜などの深く湾入した港湾がある。特に女川湾は湾口を東方に開き、南・西・北の三方は悉く山岳を以て繞らし、湾口の前面には、出島を始め、江島列島の島々が点在して自ら一大防波堤を形造り、天然の良港湾をなしている。港内の水深は五米乃至二八米で船舶の碇泊に適し、湾外一帯は一大水産海域で、金華山沖の宝庫を目睫の間に控え、漁港はもとより商港または避難港として絶好の地位を4

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