女川町誌
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いつた。翌十七日警察署は大活動を開始し暴徒を検挙し騒擾罪として令状を発した。偶々仙台市にも類似の騒擾が突発した。知事は十八日付県令第四十一号を以て禁足令を発した。即ち午後十時以後日出前に於て濫りに街路を徘徊し、また佇立すること、若くは五人以上の同行を禁止すること等であつた。仙台地方裁判所石巻支部に於て大正七年十月十六日豫審の終結があつた。十八日入監中の犯人十六名は宮城監獄に押送せられ、釈放中の二十三名は公判開廷と同時に召喚せられた。其の豫審の終結文を左に掲げる。「右阿部貞雄外三十七名に対する騒擾及佐藤周助に対する騒擾並に家宅侵入各被告事件に付豫審を遂げ決定すること左の如し主文本件を仙台地方裁判所公判に附す被告千葉丑吉を釈放す」理由被告阿部貞雄・熊谷常助・三浦佐太郎・弓田富治・山本喜代治の五名は米価暴騰の為め、 福島市其他各地に騒擾事件突発し米穀商に対し暴行を加へ其の値下をなさしめたるを聞知し、石巻町に於ても之に做ひ多数集合して米穀商を脅威し米価の値下を強要せんことを企図し、 本年八月十一日頃より時々会合謀議を凝し同月十二、三日の両夜貞雄自ら執筆し同月十六日夜石巻小学校庭に多数集合し米商店に対し暴行を加へ米価を値下せしむべき趣旨の広告を認め右両夜之を石巻町役場前の掲示場其他に貼付し、以て米価暴騰に苦しむ多人数に周知せしむる策を講し、文一面貞雄・常助・喜代治等は横江末吉外数名に対し右暴挙に加入すべき旨勧誘し、何れも其承諾を得たる後、被告貞雄・常助・佐太郎・喜代治は予期の如く、同月十六日午後九時過頃同町字坂下不動堂の鐘声を合図に集合したる数百名と一隊を為し、米穀商なる同町字裏町佐々木伝兵衛、字立町宮城兵蔵、合資会社鴇田商店、佐々木金四郎、米沢喜代蔵、字穀町和賀井長右衛門・門間銀助・和賀井四郎、同町字赤土山下松川東兵衛、同郡蛇田村字山下清水尻北村訒、並に石巻町門脇大泉丑蔵方に閧の声を挙けつゝ殺到し、各店頭に石を投じ、又其の表戸等を破壊して大声米価の値下を絶叫強要し、右米穀商等をして之か為め一升二十銭(佐々木伝兵衛は二十五銭)に販売することを承諾せしめ、461

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