女川町誌
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農業も自営する、それらのために必要な生産手段を完全に手離すわけにはいかないのである。雇傭も特殊なものを除いては地元の血縁地縁関係を主とした狭い範囲で行われ、漁撈技術も船頭中心の技能体系が濃厚である。尤も手労働体系での協業は漸次平漁夫層の単純労働を媒介として社会的平均化する方向をとつている。漁夫の組合は業種によつて異なるが、地方の中小漁港根拠地を中心に結成されているものが多い、前述の季節性と漁期中の速日の操業と陸上にいることの不定で短かいこととは、漁夫の意識の低さと相俟つて全面的にその組織を脱弱化してる。⑶沿岸漁業労働者(第三群)極めておくれた関係によつて緊縛されているのがこの群の特徴である。雇傭についても若干の定置を除いては地縁性血縁性は極めて強く部落的である。しかしそれは地先漁場の漁業で移動性がないから全く孤立している。そこでは典型的な地主網子の関係が現出する。村落共同体幻想の下で実質的な村の政治的経済的支配者層たる網元のブルジョア化と、網子のプロレタリア化が農地宅地山林漁場を通じての封建的支配隷属関係を媒介として進行する漁労技術も最もおくれた段階のものであり、一般的には無動力、長期間単純労働である。か々る極度に低い生産力段階での網子の労働組合形成、組織の結成などは凡そ考えられないという程におくれている。しかしかゝる場合でも都市に近接する、極度に窮乏化した地帯では、その組織が成長しているものもあるが、一般的には自給農業零細漁業を基底とする孤立した漁村の封建的な政治的経済的緊縛支配関係の桎梏によつて阻止されているのが現実である。⑷年雇的漁業労働者(第四群)家族労働を主体とする小生産漁業の家族労力補充としての漁夫は、農業の年雇、387

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