女川町誌
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加工業者は主人も製造業者に加わるが、雇人を使用して居る故に資本主の中にはいる。鮮魚仲買人は大部分は加工業者を兼ねている。二、漁業労働者群⑴近代的漁業労働者(第一群)その主たる特徴は巨大会社を含む大会社資本に雇傭関係を結び、或は船頭を中心とする技能的結合関係を残しながらも、一応自由な労働力の売手となりえていること及び雇傭は季節性を克服し周年雇われるまでに安定化していること。血縁関係・地縁関係から脱却しその大部分が県外からの労働者によつて構成されている。しかも他に自己の兼業をもつことなく生活が自由になつている。即ち一応自由な近代的な労働者の性格を備えているといえよう。そこではかなり強固な全国組織をもつ労働組合が大漁業を中心に結成されている。「巨大資本主義は古い社会、一定の住居、一定の搾取者と労働者とのあらゆるつながりを不可避的にたちきり、労働者を団結させ、また考えさせ、組織的な闘争を始めることを可能にする諸条件の中に労働者を置く」とされているが、なお、封建的諸関係を尚残存せざるをえない。資本自体が寄生化する段階で、かゝる労働者の背後におくれた漁夫・網子・半プロ漁民の広汎な人口を持つている場合には、右の傾向は無視出来ない問題を含んでいる。⑵沖合漁業労働者(第二群)その大部分は個人船主(小資本家)に雇われる。雇傭関係にも尚船頭を中心とする技能的地縁的結合関係を強固に残しており、自由な労働力の売り手とはなりきつていないやといわれる、経営は漁業の季節性を克服するだけの力のある経営ではなく、季節的に漁夫は失業化するため、その移動が漁業種類毎に生ずる。家における兼業の必要性はそこから生じ、一本釣りなど零細漁業に結びつく所以である。386

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