女川町誌
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二、女川町は知事の認可を受け女川魚市場の開設権を取得すること、其の様になつた場合は、県漁連は昭和三十二年五月三十一日迄享有する業務権を放棄し、町は宮城県漁業協同組合連合会を直ちに卸売商人に指定の手続を取ること、そして事故なき限り其れ以外に卸売人を指定せざること。三、魚市場使用料及び新設魚市場上屋及び現在所有の魚市場上屋を含み、使用料は年間の総水揚金額の五厘とすること。右の約束を漁業協同組合連合会会長理事阿部八兵衛氏との間に約束する。次ぎに町と連合会とは、右契約書に締結した理由と将来につき覚書を取りかわしている。其の大意は、宮城県漁業協同組合連合会も、魚市場上屋等を新設する方針の下に諸準備中であつたが、「該埋立地にあつては女川町が巨額の経費を負担したので、埋立完成を機会に女川町の水産業振興の恒久施設を建設し、繁栄の基盤を作るとともに魚市場開設者として資格を所得したい」と女川町より再三の申出があつたので、県漁連は旧魚連以来女川魚市場に於ける開催業務の権利者であり、しかも昭和三十二年五月三十一日迄の権利保持者であるにも係らず、割愛したので、女川町は同市場の開設者となるのみで、卸売業務権は漁業協同組合連合会の既得権と権益とを尊重し漁連のため確保する意志である。漁連合会が大乗的見地に立つて町の恒久的繁栄のため割愛する事情を諒承し、相互に提携して共存共栄の実をあげたい、依つて契約を締結する次第である。ついで同日本町議会は魚市場上屋建設費に充てるため金参千八百万円を起債する議決をした。昭和三十二年二月十九日魚市場特別会計を設定し、その歳入歳出予算を上程可決し、上屋建設も愈々本極りとなつたわけである。350

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