女川町誌
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第二十五条の示す処によれば、此の条例施行の際現に市場を開設し又は業務を営んでいるものは、公布の日から六十日までは其の業務を営むことができるとあり、即ち九月七日以後魚市場を継続経営することを希望するものは新たに許可の申請を必要とすることになつた。これは魚市場経営の転換更新を意味する重大なる示唆であつて、この好機こそ従来本町の懸案となつている魚市場町営問題を解決する時機であると信じ、特に町議会招集を請求した次第である。従て此際魚市場問題に対する町民大衆の総意を明確に示し置きたいのである。惟うに今や女川港は太平洋岸中アメリカに近接する重要港湾として内外の視聴を蒐め政府は国帑の支出巨多な際にも拘らず、特に巨額の資を割いて港湾の修築に漁港の修築に石油輸入施設に努力を傾けられ、本町亦この態勢に応じ、その完成のために四千万円の負担を喜んで受けているのである。然も漁港としては世界三大漁場の一つ金華山を控える特異性を有し魚市場に於ける水揚量は逐年増大し、量に於ては二百九十六万貫、金額に於ては一億三千万円に達し、逐年多々倍々好望を予想される。玆に於て魚市場の開設権は一万七千町民の要望として拾頭し今日に於ては最早是非の議論は去つて定論と言つても差支えない域に達している。但残る処はその受入態勢を如何に整え置くかという一点である。此の場合第一に考う可きは町の財政である。港湾計画完成に伴う四千万円、中学校建設起債、其他増額を予想される。町債等の償還資源及将来支出の増大に対応する財源の一つとして恒久的財源を造成確定し置くことは、将来を思う者の当然為す処置であると確信する。仍て吾々は明快に曰う。魚市場の開設権は当然町の獲得する。是によつて町の恒久資源を確保し置くことは健全財政の樹立を冀望する一万七千町民大衆必至の要望に答うる所以なりと信ずる。吾々はこの事業完成のために各自十二分の努を為し、以てその運営に当つて聊かも公共性を阻害するようなことのないことを表明し置く次第である。昭和二十三年八月十日提出女川町議会議長木村庄左衛門右同日満場一致可決すると同時に重大なる問題である故を以て全員実行委員となることも決議した。是に依つて町の恒久財源を確保し置く事は建全財政の樹立を冀望する壱万七千の町民大衆の要望に応うる所以なりと信ずる。346

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