女川町誌
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序地方といわず、中央といわず、その地域社会の政治・経済・文化の在り方を考え、之が振興と発展とを図るためには、その実態を把握することが肝要である。然るに本町地方の過去現在の実情を知るに足る郷土文献としては、僅に大正十二年に刊行された牡鹿郡誌があるのみで、他に参考となるべき有力な資料はない。そこで町民の間にも郷土誌編纂が屢々要望されていたのであるが、昭和二十七年二月、本町議会は町誌編纂事業を取上げ、之を予算化して専門委員二名助手一名を置き、四月より発足することになつたのである。専門委員として本町の事情に精通する相沢清六・鈴木喬の両氏を委嘱し、更に委員として奥村玄荘・三宅玄雄・金文雄の諸氏も委嘱した。爾来委員各位は同三十三年三月に至る満六箇年間東奔西走、主として各種資料の調査蒐集に努めた。同年四月に至り、豫て本事業開始当時より顧問にお願いして来た斯道の権威者前宮城県図書館長菊地勝之助先生に、一切の資料を提供して取捨選択は素より編纂の全部をお願することとしたのである。本町と菊地先生との連絡及び追加資料の蒐集調査その他のことは、専ら相沢専門委員がこれに当ることとし、二箇年半の歳月に亘る編修の結果、漸くここに地方誌の体系を整えて刊行の運びに達し、壱千頁という内容豊かにして形式も亦完備した本町誌を見るに至つたことは誠に喜びにたえないことである。温故知新ということは何人にも、また何事にも大切な1

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