女川町誌
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請 願 書 前 文 謹んで申上げます。今般女川鉄道起工の恩恵に浴し、多年の希望を達成したことは私共地方民の真に喜びに禁へざる所であります。之が施設計画につきて、素より当局に於て周到なる研究調査を遂げられたるもの故、私共地方民から請願など致すことは誠に恐縮の次第ではありますが、若し出来ますならば何卒我々の衷情を御汲取下され度、別紙連署を以て請願致す次第であります。 主 文 大沢浦宿両部落附近に一ヶ所停車場を設置せらるゝやう御配慮下され度此段請願に及びます。 理 由 一、安住・大沢・浦宿・針浜・猪落等約百五十戸の住民及鷲 神一部の住民が、近接に停車場を設置せられ一般交通の便 に浴したい。 二、大沢 本県養蛎場あり、又薪炭の産地であります。更に 良質の碑石材が無尽蔵にありますが、運賃の関係で採掘を中止して居ります。依て之等産業開発の為め便益を与へられたい。 三、浦宿附近 女川町内にては平地の多い地方で、又女川小学校の所在地であります。而して埋立地も半完成し、二、三の小工場が着手されて居ます。更に埋立可能の海面広く大沢の水源と相待つて、女川港の住宅地及工場地帯を以て目され、種々計画あるやに聞及んで居ります。就ては当浦宿一帯の開発の為め便益を与へられたい。 結 尾 以上は全く素人考で肯綮に値せぬかも知れませんが、要は女川鉄道開通により出来得るたけ交通の便に浴し、地方開発の恩恵を蒙りたい一念に外ならぬのであります。希くは私共一同の衷情御採納賜らんことを、玆に誠心誠意懇願申上げます。 昭和十一年十月 右代表 女川町大沢 一 番地 阿 部 運 蔵 〃 浦宿二六番地 勝 又 倉 之 助 〃 針浜一五九番地 阿 部 市 郎 治 外各区民連署捺印 鉄道省 盛岡建設事務所長殿 (女川町経由) 289
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