女川町誌
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調査事項(省略)右照会に対し、女川町長より回答した女川港調査書は次の通りである。㈠港名女川港㈡所在地牡鹿郡女川町(女川浜・鷲神浜・小乗浜・高白浜・横浦・大石原浜・野々浜・飯子浜・塚浜・宮ヶ崎・石浜・桐ヶ崎・竹浦を包含せらるる海面)㈢改良必要の理由当女川港は天然の良港として、夙に人口に膾炙する所にして、港湾水深に富み大船巨舶の出入碇泊に好適し、商港として荷役時間の短縮滞船日数の減少、又燃料を軽減し得へく、又漁港としては世界有数の好漁場たる金華山沖の海田に最近接しあるを以て、漁業根拠地として最有利の位置に在り又軍司要港としては明治十八年英国東洋艦隊の入港を見、後大正八年戦利品独逸潜水鑑三隻を廻航して一般の観覧に供し次て大正九年六月「さがれん」派遣軍の輸送に成功し爾後大正十四年以来帝国軍艦日進・岩手・五十鈴・北上・木曾・那珂其の他の諸艦入港艦上点呼を執行せられたる等軍事上に関する当港の利用極めて頻繁なり、而して本年亦事変下に於ける艦上点呼を当港に於て執行せらるるの議あり、斯の如くなるを以て当港の軍事上重要性を有するは明かなる事実にして、又昭和十年米国汽船「ドラフン」号(一万二千噸)の入港を嚆矢として英米威の外国汽船相踵て入港するに至り其の良湾たるを如実に証明するに至れり以上の諸点よりして商港として漁港として、将亦国防止最優越せる地理的機能を発揮し得へき、要素を具備する要津たるを疑はさるなり、而して女川鉄道の開通目睫に迫り之か開通の暁には海陸の連絡完く成り、当港利用の価値著しく増進するに至るへし。而して東北振興事業として目下建設中の石巻パルプ工場幷之に附帯して勃興すへき各種工場又は細倉鉱山事業に依る石炭竝原料製品の輸出入港として利用せらるゝは既定の事実にして又東北一般の需用に資すへき石炭其の他木材大豆槽等の輸入港として利用せらるるは火を覩るよりも瞭かなりとす。然るに当港現在の状勢は船車の連絡上利用すへき臨港地域狭隘にして臨港鉄道の敷設困難なるのみならす、荷揚場に充つへき大なる地域を存せす、随て接岸荷役不能なるを以て此等の設備を完備するに非されは、当港天与の機能を十分に発揚し其の利用を恣にする217
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