女川町誌
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修築計画本港は曩に私営にて一部の埋立を行ひ、市街地及工場敷地を設け護岸を築き桟橋を設け魚市場を設置し鮮魚処理の便を図り、次て時局匡救事業に依り南西岸に沿ひ埋立を行ひ物揚堤及護岸を築きて物資の荷役に便し、西に災害復旧或は冷害対策工事として海岸に沿ひ小乗浜に通する道路を復旧して交通に便し、尚鷲神地先に横桟橋二基を築造して貨物処理に備へ、海嘯豫防施設として越木礁に達する防波堤の築造中なり。而して漁船は年を逐て漸次拡大し出入船舶も亦増大し大型汽船の出入頻繁を加ふるに拘らす、魚市場の如き漸く桟橋に依り鮮魚介を荷揚する状況にして接岸荷役など思ひも依らず、水深き荷揚場なきの故に、百噸級以上の船舶に至りては二基の狭き横桟橋以外に荷役し得る処なく、総て沖懸りにて貨物を処理せさるを得す、極めて不便不利の港状にあり、是れ年平均一日約七十隻の入港船に対し困難を感ずる所以にして、魚市場附近の護岸の改築、荷揚場の増設及五百噸級以上船舶の接岸用岸壁の築造を要す、殊に明十三年には省線の開通を見るべきを以て海陸連絡の施設を為すを急務とす。然らば其修築を如何なる規模に実施すべきや入港船舶を見るに、登簿噸数五百噸級以上の船舶は壱六隻同百噸乃至五百噸級の船舶は壱五七隻同百噸以下二四、一一一隻、又移出入貨物数量を見るに一一三、〇六二噸の現状にして、港湾修築の暁には漁港及沿岸港として其機能を発揮すべく、尚鉄道の開通後は海陸連絡の施設に依り鮮魚・鉱油・石炭其他雑貨の移出入量増大すへきは明かなると同時に大型漁船及ひ大船の出入増加するは疑問の餘地なし、依て先つ近き将来に於ける移出入量の総額を参拾万噸と仮定し、五百噸級以上船舶の接岸用岸壁及ひ其他の船舶用物揚場を築造し鉄道を敷設し道路を通し以て所要の目的を達せんとす。即ち従来の魚市場前面及び宮ヶ崎附近の海面の桟所を埋立て其海岸に水深三・五米延長三九〇米長一一〇米の物揚場を築き魚市場を設け其背後に鉄道を敷設し鮮魚の取扱に備へ尚定期船其の他の接岸荷役に供し、又石浜前面浅所を埋立て水深五米岸壁長二六〇米同三・五米物揚場長一〇〇米、同二米物揚場長一〇〇米を築造し、岸壁に沿ひ上屋を築き其背後に鉄道及道路を築設し、以て五〇〇噸級以上の船舶三隻の接岸荷役に充て、物揚場は五〇〇噸級以下の船舶及大型漁船の荷役に供せんとす。斯くして新設岸壁及物揚場に依り弐七〇、213
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