女川町誌
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港せざるを得ず。塩釜は素より外港入港なるを以て風浪荒き時は陸上との連絡不可能となり、幾日かの停船を要す、即ち女川が開港せざる為め蒙る此の無用の入港費と時間とはやがて漁業家に課せらるゝ負担となる。此の外米国より経由し当地に輸入せらるゝ重油も亦少なからず、斯の種重油は横浜女川間の高価なる運賃を加算したる重油となる。⑸以上女川地方の対外輸出品の主なる物のみにて既に一百二十万円に達す、而かも女川が商港ならざるの故を以て蒙る地方民及金華山沖出漁者の損失幾何なるかを知らず。第四女川経由を便とする旅客及貨物⑴塩釜・石巻・女川・気仙沼其他太平洋に面せる東北一帯の冷凍魚類・海産製造品・雑貨石盤等の輸出品。⑵東北々海道地方に輸入せらるゝ米材・重油・機械類・砂糖・飼料其他の雑貨類等。⑶特に全国より北米に輸出せらるゝ生糸生糸の相場は変動甚しく、商取引一日の遅速は当業者に多大の利害あり。故に横浜積出しに比し二十時間の短縮をなし得るは当事者の必ず歓迎する所なるべし。⑷日米間の旅客は一般に船中生活二十時間を短縮し、東北及北海道と北米間の旅客及貨物は約三十時間の短縮と旅費及運賃の軽減となる。⑸米国よりの観光客は女川に上陸して東北より観光し(松島・十和田等)欧州支那等より来る者は東北迄観光し、然る後女川より米国に渡航すべし之れ外客歓待の道にして又東北開発の重要方案なり。⑹船舶入港時間は一般に正確ならず、海上風波荒き場合は更に甚し、之が為め横浜に於ける東京方面多数の出迎者は常に時間の空費と不便とに悩みつゝあり。然るに若し女川に寄港せんか上陸と同時に着駅時間を打電し時間正確となり、多数の出迎者をして非常なる便益に浴せしむるを得べし。第五郵便物⑴近時飛行郵便の発達は何人と雖も、郵送時間の短縮を認めて止まざるが為なり、故に支那方面及日本と米国との郵便物は神戸・横浜間すら鉄道を以て輸送す。従つて若し女川定期寄港地実現の暁は東北北海道は勿論、全国並に支那方面と米国間の郵便物は必ずや鉄道輸送206
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