女川町誌
267/1094

⑶湾形は三方山を以て囲み、東南の一方開く内港は如何なる風波と雖も碇泊及び荷役に絶対故障なし。⑷外交は約壱千万坪出島・笠貝島・江の島・平島・二股島寄磯岬等によりて囲み多数の大船舶を碇泊せしむることを得。⑸近時油槽船一万四千噸級の外国船及極東丸は自然岸壁より十数米の所に碇泊し、ポンプを以て直接保税工場に油を陸揚せる実状なり。⑹陸上連絡は昭和十二年度末を以て女川線開通し、東北本線及酒田港・新潟港に連絡す。⑺市街地其他利用可能地別表参考書の如く相当広し。第二桑港と女川横浜間⑴日米航路の船舶は必ず女川沖(金華山沖)を通過す。而して之等船舶の経済速力は大体十五浬とす。従つて女川横浜間の距離は二十時間なり。故に女川に寄港するときは日米航路を二十時間短縮す。⑵一般に船舶の入港は未明を以てよしとす、今横浜を主とし女川を従として此の関係を見るに(イ)来朝船は女川に未明入港し、午前中に出帆し得るを以て横浜入港は翌朝未明となり。従つて横浜入港時間には何等の損失を与へず。(ロ)渡米船は普通横浜出帆を午後三時とする故、女川入港は午前十一時となる。従つて当日夕刻迄には出帆することを得、但し此の場合は渡米時間を約五時間延長することゝ成れども、僅かの加減により此の時間を補ひ得るは識者の認むる所なり。第三女川地方の輸出入品⑴対米輸出冷凍鰹は、女川町のみにて年額二十五万円を産し、悉く横浜経由と云ふ損失を見つゝあり。⑵渡波・女川産の種かきは対米輸出年額約十二万円を算し、悉く塩釜経由なり。従つて渡波塩釜間の運賃のみにて九千円を要し、而かも外港荷役なるを以て風浪荒き時は荷役不可能と云ふ損失あり。⑶隣村十五浜村産の石盤は南米印度に輸出する物年額二十八万円に達し、之又横浜を経由するの不利なる立場にあり。⑷北米より直接当地に輸入する重油は年額六拾万円を下らず、然れども此の船舶は特許を受けんが為め一応塩釜に入205

元のページ  ../index.html#267

このブックを見る