女川町誌
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一、女川漁港修築工事計画書一、同設計説明書一、同設計書一、同設計図四葉外附図一葉女川漁港調査設計復命書㈠町勢女川町は宮城県牡鹿半島の頸部に位し、金華山を距る北方十餘海里女川湾を擁して太平洋に臨む、広袤東西五里十八町南北二里、其面積十方里余にして女川浜外十九ヶ浜より成り、人口八千四百余人、戸口千三百八十余戸を算す。当地産業状態を見るに、農業戸数一六八戸、工業一〇九戸、商業二五一戸、漁業五八七戸、其外二六八戸にして、漁業戸数は総戸数の四割余に当る生産額は農林産物三十一万餘円、工産物二十三万円、水産物三百餘万円(漁獲水揚年額二百余万円、水産製造年額百余万円)にして、漁業は実に本町生産の主要なるものなり。㈡港勢女川港は女川湾々奥にあり、湾は深く北西に湾入し水深に富み、三面山岳を繞らし自然に風波を遮り、漁港の外廓施設を要せすして能く港内の利用を専らにし得へき天恵の好地形たり、後方連絡は西方四里にて石巻町に達し、現在軽便鉄道の便あり、尚近く国有鉄道布設せられむとするの機運に在り、又海路連絡は三陸汽船会社の定期航路に当れり。港況斯くの如く良好なるのみならす、湾外より金華山に至る一帯は漁場として魚族頗る豊富なるを以て、本県は勿論和歌山・三重・静岡・千葉・茨城・福島・岩手等の各県より出漁する漁船多く、従つて此等漁船の本港を利用するもの頗る多き現況にあり。漁船数は現在地元発動機漁船四十隻、本港を根拠とする他地方発動機漁船を合せは三百五十余隻に及び、在来漁船を通算するときは約千隻に達す。当地の主漁業は鰹・鮪・鰤・烏賊等にして、水産製造物は鰹節を最とし干鯣・魚粕之に次き、魚類処理機関として魚問屋四、加工製造場六二、氷藏庫六、石油貯藏庫三等あり、昨年製氷会社の開設を見、又近く水産会社設立の機運に在り。㈢漁港修築目論見本港は前述の如く天然の良港湾を有すれども、臨港地積頗る狭隘にして港湾の利用上遺憾の点多きを以て、地元にては196

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