女川町誌
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て作戦計画の中堅に適す、万一北海事あるときは征清役の呉軍港及宇品港に於けると一般なる要地なり此地や本網湾と腹背を為し、中間なる万石浦は面積広大なる湖水にして浚渫の工を加ふるときは幾百の船舶を容るゝも敢て多しとせさるへく、鷲の神の小山脈は容易に掘鑿の業を竣るを得へし、両々相待ちて此大湖を泊舟の一大舶渠となさは東海数百里の沿岸に於て規模の大なる停繋の安全なる此右に出るものなかるへし、聊鄙見を陳るときは女川湾に軍事的築港を為し、大網湾に通商的築港を為し、万石浦を中腹に充て石巻鉄道を延長して此両港に接続せしめは一挙して海陸を聯絡し、平時に在りては貿易の利便を通し有事の日は作戦攻守の基地たるへし、仰き冀くは閣下速に本県会の意見を納れ、我宮城県に一良港を築くの法を設けられんことを、玆に沿海略図を製し之に陸路に形勢を付し以て参照に供す、閣下幸に幾之輔等微衷のある所を諒察せられ県民宿年の輿望を酌み国家百年の長計を立られんことを誠恐頓首明治二十八年一月廿六日宮城県会議長藤沢幾之輔内務大臣子爵野村靖殿第四節女川港の開發一、仙北軽鉄の買収大正八年開会の第四十一回帝国議会に於て、石巻線―女川線の前身である仙北軽便鉄(小牛田―石巻間)の買収の件が取上げられ、その買収費支弁の為め、公債発行に関する法律案が提出された際、委員長熊谷直太氏より女川港の将来につき次の様な説明があつた。「皆様御承知の如く仙北軽便鉄道は東北本線の小牛田より石巻に通ずる軽便鉄道であります。其の哩数は一七哩四分に当つて居る、其の買収する目的物は鉄道の建築費の費目に属して居る一切の物其の他営業費の費目に属して居る物の一部を買収するのであります、而して此買収は会社と政府と協定の上一、〇六五、九五〇円分の利付の公債を発行して之れが買収費に充て176

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