女川町誌
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海上二レグワの所に数島が見え(綱地田代辺ならん)港は水深く安全、如何なる船舶も昼夜の別なく入港することが出来る。クブルチ(小淵か)と言ふ。マグタレナと名づけた。こゝで陸地及び諸島の図を作製して大原の宿舎に帰つた。翌日更に船路によつてウラガレ(女川ならん)に着く。大いなる湾がある。こゝに二つの良港があつて一を石浜と言ひサン・アントンと名づけ他のウラジといふ所をサン・トマスと命名した。右の探検記の中にあるウラジとは浦宿のことならんとの説もあるが、万石浦にある浦宿と石浜とを並べて前記の様に説明する理由はない。また女川湾内にはウラジに近い発音の港もないと見られていた。然るに編者の調査によると竹浦湾の入口の附近に浦ウラジ宿ユクと呼んでいる一漁場のあることが判つた。この地名は部落民以外の者には殆ど知られていない。また如何なる地図にも未だに載つていない。この浦宿と呼ばれる漁場のある竹浦湾は天然の良港で、風波が穏かで海水が深く、二三百トンの船が楽々と出入の出来る湾で、古くから漁民の住んでいた所である。イスパニア使節の一行が竹浦湾の入口の小部分の浦宿の名を聞いて竹浦湾のことをウラジといつたのであると推測される。従つてこの探検記に於てウラガレ(女川ならん)なる大きな湾があること、またここに石浜とウラジ(浦宿)なる二つの良港のあることが指摘されているのである。二、開成丸航海日誌と女川160

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