女川町誌
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足島(あしじま)足島は江島の南東約半浬の海上に、近く手にとる様に望まれる長い島で、海猫と善知島との産卵育雛の地である。江島列島の大半は水成岩から成つているが、この島だけは金華山と同じく全島が花崗岩から成立つている。古人は太平洋に巨人が横たわり、その頭は金華山で、その足がこの島であると見立てたという。足島の名はこの伝説に起因するのである。平島(ひらしま)江島の水道を距て西方に横たわる島で、大いさと長さは略々足島に等しい。島の地形はその名の様に台地状をした平らな島で、海抜三一米が最高となつている。島の周囲は断崖絶壁で、島嶼が散在し、是等の岩石には鮑や若布・昆布などの海幸に富んでいる。蛇島(へびしま)平島と江島の間の水道の江島寄りに蛇島と呼ばれている小島がある。全島が黒い岩石で、これという草木もなく、海上に浮んでいる島の姿は、恰も蛇が海中に獲物を発見して飛びかかろうとする様に見える。特に頭部の岩石が蛇の頭に酷似していることはもとより、体部の中程が稍々盛り上つているので、蛇行の勢さえ見せている。二股島(ふたまたしま)二股島は江島列島に属しているが、寄磯半島に近く、多分に内陸的な景観を見られる島である。島の地形は二股の名がある様に大小二つの島から成り、二つの島は僅かの狭い地峡によつて並び立つている。即ち二股大根、二股道などの名がある様に、一つの大きな岩盤の上に浮ぶ二つの島の意から呼ばれたものと推測される。奥の海(おくのうみ)歌枕として古くから知られた「奥の海」は、牡鹿半島附近の海と見られる。一説には牡鹿半島南端の黒崎附近の海といい、また他の説には渡波から女川浦宿にわたる万石浦ともいわれている。前者の奥の海は、荒い海として金華山対岸の牡鹿半島の南端黒崎から金華山附近の海を、昔から「奥海」と呼んで来た154

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