女川町誌
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出島は女川湾外の離島で、尾浦の前面にあり、女川・雄勝の両湾を分界している。出島という地名は全国的には但馬国(兵庫県)出石郡と下総国(栃木県分)猿島郡とにあるが、何れも内陸にある土地で、女川町の出島とは地理的条件を異にしている。寧ろ長崎市の出島(でしま)と同じ様な地形に置かれている。長崎市の出島は歴史上有名な場所で、森崎大波戸の南に出ている砂洲で、今は出島町と称している。江戸時代ポルトガル商人を置くため寛永十一年に埋立てた土地で四千坪に満たない扇形の小地であつた。ポルトガル船出入禁止の後、寛永十八年、平戸にあつたオランダ人を移転せしめた島状の土地である。それで出島(でしま)の名称が生れたのである。女川町の出島も、丁度長崎市の出島と同様に、内陸から前方に離れ出た島の意である。ただ出島(いずしま)と呼んでいる。江の島(えのしま)金華山の北、女川港の前面洋上に絵の様に浮ぶ島々が江島列島である。江島始め二股島・平島・小島・蛇島・恋の島・足島・笠貝島などの島々からなつている。江の島は列島中最大の島で、その北側に小湾があり聚落をなしている。この島は列島中唯一つの入江をもつた島なので、その名があるという。かの遊覧地をもつて名高い相州(神奈川県)の江島は、絵島(ゑのしま)とも書かれている様に、風光明媚の佳境であるので、江島は絵島に関連するとも見られる。女川町の江の島もまた女川港外に浮ぶ姿は全く絵島である。なお出雲国(島根県)の中海に江島(えしま)、豊前国(大分県)の宇佐郡に江島(えしま)という同字地名がある、何れも海岸に近い島である。笠貝島(かさがいじま)江島の正北約一浬余の海上に浮んでいる笠貝の形をした無人の孤島が笠貝島である。笠貝は日本動物図鑑によると「陣笠形の稍々大きい貝殻で、長さ八八粍高さ四〇粍、丸くて円錐形の殻を有ち、殻頂は略々中央にある。殻表は淡褐色で、之に結節を有つた大小の放射肋を刻んでいる。本邦産に約七種位があり、小笠原島附近に見られる」とある。女川湾海岸等にも棲息している。笠貝島の名は取りも直さずこの貝の形に似ていることから起つたものである。153
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