女川町誌
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かくて組織が出来ると各部はそれぞれ猛然と活動を開始したが、決議機関の町議会が先ず民間を巡視して実情をつかみ、罹災者の声を聞き役場に会合して民間の声を実行に移した。町と民間の間にむずかしい問題があれば委員会が之を引受けて処理し、中央から大官や政治家が来れば揃つて顔を出して陳情嘆願するなど、全く一糸乱れない一体となつての活動であつた。この情況を眼前に見られた県当局やその他人々は、そのうるわしさを称賛して居られた。この態勢は一か月以上を経ても緩まなかつたのである。町民や外部の方々の協力もさることながら、役場員は昼夜兼行で働き続けられたこと、それにあの大事変が起きるや、阿部助役を始め役場員は一目散に役場にかけつけ、五時半上京中の町長と議長とに電話をかけて、最大の波の来た一時間四十分前に津波の情勢を報じ、即時帰町を促し、更にそれぞれ取敢えず応急の処置を講じて避難・防疫・救助に当つたことは、確に役場員平素の心構の然らしめた所と言わねばなるまい。又近年めつきり成績を挙げて来た商工会の機敏な活躍も亦吾々町民の目にうつつた一つである。そのおかげによつて、各種事業家が逸早く金融がつき、店舗も復旧し商品も入り、諸機具類も整備するというように女川の復興は案外早いと見られている。特に今度の災害に際しては、⑴政府当局を始め県庁・各政党等の即時視察と対策の急施、⑵自衛隊の復旧に対する活躍、⑶各地消防団と桃生町大工組合の応援等敏速にして適切なる援助の手をのべて頂いたことは、女川町として忘れることの出来ないことである。なお今度の災害に於て、町内で最も目覚しい活躍をされたのは、消防団と警察であると思う。それは何人も異議のない所で、全く自発的に随分と働き、甚大な効果を挙げられたのである。是等各方面の人々に対し全町民と共に感謝感激に堪えない次第である。1004 1004
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